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人生の「先延ばし問題」解決するたった1つの盲点 意志の強さや努力量よりも大事な考え方がある

東洋経済オンライン / 2024年9月4日 9時0分

実際、私も大学受験時に、入りたい大学の在籍者のふりをして、インターネット上でさまざまな受験生にアドバイスをしたり、合格体験記を大量に読んだ後に自分で書いてみたり、実際に自分で大学に出向いて大学生のふりをして歩いたりするなどの行動をとっていた。なので、この「なりたい状態の解像度を上げていく」という点については心から賛成なのだが、この本を読むまで、1つの重要な観点が抜けていたことに気づいた。

それは「その未来の姿が、自分と連続した存在であり、赤の他人ではなくて、自分だと思えるのか」である。

未来のことなど気にしても仕方ない?

正確に言うと、本書の中に「未来の自分は、ある程度は赤の他人である」のような表現が出てくるように、未来の自分はやはり他人のようなものである。しかし、まったく関係性がない赤の他人であるか、非常に親密な存在であるかで、自分の行動が変わると本書では主張している。

たとえば「未来の自分を他人だと感じ、なおかつ利己的に行動する傾向があるのなら、未来の自分の利益などおもんぱかれるはずもない」と書いてある。

わかりやすく言えば、未来の自分を他人だと思っていたら「ケーキやラーメンを夜中に食べても、それは(他人のように感じる)未来の自分が困るだけだ」となってしまう。つまりは、自分に害があることも平気で実行できてしまうわけだ。

逆に、遠い未来の自分に親しみを感じる人は、大事にするはずである。自分自身だと思えなかったとしても、自分と親しい人間だと感じるなら、その人が困るようなことはしないからだ。実際に、未来の自分とのつながりを感じている人ほど、貯蓄額が多く、経済的に豊かであることが判明した、と本書には書いてある。

さらに重要なことに、「今この瞬間に抱いている感情こそが、過去の感情や未来に起こるであろう感情よりも重要」ということも書いてある。

わかりやすい例として、旅行前のパッキングの話が書いてある。今、寒いと感じていたとすれば、旅行先で着る予定のない上着などをつい入れてしまう、ということだ。私も、夏に冬服を見ると「こんな暑い服、必要ない」と思ってつい冬服を処分してしまうし、冬には夏服をいらないものとして捨ててしまうことがよくある。これもすべて、現在の感情で考えてしまっているからだ。

また、別の例として「遠い未来の予定に、重いものを入れてしまう」というのもある。たとえば私は先日「1冊の本を読んで、その解説を5000文字で書く」という仕事の依頼を引き受けたのだが、これを明日までにやってくれ、と言われたら確実に断っていた。しかし、締め切りが1カ月後だったため、未来の自分の感情を考えずに引き受けてしまったのだ。そして今、締め切り当日に本を読み、泣きながら深夜に5000文字の原稿を書く羽目になっている。

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