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武田薬品、わずか4年で2回「国内リストラ」の中身 手厚い「退職条件」でも、現役社員に渦巻く不安

東洋経済オンライン / 2024年9月5日 8時0分

では武田に残ったところで安泰かといえば、そうでもない。組織再編によって4つの部門が2つになれば、単純に1地域当たりのポストが減ることになり、勤務地が変わる可能性が高まるからだ。

MRは転勤ありきの仕事だが、近年の武田では、子育てなどのライフイベントに配慮した配属が重視される傾向にあった。しかしある現役MRは、「2020年のFCP実施以降、その前提は崩れた」と振り返る。

当時、武田は希望退職に関する面談で、社員に対し「勤務地の保証はできない」と伝えたという。その言葉を受け、「とくに(子育てなどで)時短勤務をしていた女性MRが多く辞めていった」(同MR)。直近まで武田に在籍していた元MRは「本部のポストは減る可能性が高いうえ、現場に残っても従来のエリアにいられるかという不安が付きまとうだろう」と推察する。

2019年にアイルランドの製薬大手・シャイアーを約7兆円で買収して以降、武田社内では一段とグローバル化が加速し、国内売上高は全社の1割を切る。一方で収益性の高い自社開発品が豊富な状況にはなく、新たに外部から大型品を導入できる財務的な余裕もない。構造改革によってスリム化した体制の下、後期開発段階にある6つの治療薬候補の開発を確実に成功へと導けるかが問われてくる。

武田は来期以降、業績の低迷期から抜け出せると強調する。繰り返されるリストラで優秀な人材を失った後に、再度上昇する力は残るのか。先行きは視界不良だ。

兵頭 輝夏:東洋経済 記者

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