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ロールス・ロイス、ユーザー層若返りのロジック 高級SUV「カリナン」から始まるブランド戦略

東洋経済オンライン / 2024年9月7日 9時30分

「ロールス・ロイスを自分のガレージに持っていることがファッショナブルだと考えている若い世代は、本当にこれでもかというぐらい存在感が出る外板色とか内装色を選んでいます」とニッケイン氏。

カリナン・シリーズⅡは、変わっていくラグジュアリーの世界観に対応し、クライアントの使い方を反映したもの、とデザインの意図を聞いたことがある。「初代カリナンの独創的なフォルムに存在感と華やかさを加えた」とは、ロールス・ロイスのデザインディレクター、アンダース・ウォーミング氏の言葉だ。

いい例が東京でお披露目されたカリナン・シリーズⅡの仕様。縞模様のブラウンマーブルからインスピレーションを得たという「エンペラドール・トリュフ」というグレーブラウンの車体色が新鮮だった。室内では、カシミヤ・グレー、シャルトリューズ、シヴァロ・グレーを組み合わせたシートが目をひく。

加えて、今回は新たにレーヨン生地「デュアリティ・ツイル」を導入。ロールス・ロイスの頭文字をモノグラム化して、セーリングヨットのロープを意匠化した格子模様と組み合わせた。複雑な色づかいで、斬新なイメージだ。

熟練した織物職人と1年以上かけて実現したこの素材は、インテリア全体に最大220万のステッチと11マイルの糸を使用し、20時間もの工程を経て完成するというのだ。

伝統的なロールス・ロイスの価値を重んじる顧客と、Y世代、Z世代という若い顧客とを、ともにターゲットとして取り込むためのデザイン施策は、外観とともに、ここでも奏功しているように思える。

日本市場の特異性

「ずっとロールス・ロイスを好んでくださってきた日本のお客様と話していますと、このブランドの伝統をはじめ、ブランドとして何をやるべきなのかなど、すごく深く理解してくださっています」

それが、ニッケイン氏が担当するアジア太平洋地域のマーケットにおける、日本の特異性だそうだ。

「ロールス・ロイスのクラフツマンシップが何であるかも、すごくよくわかっていらっしゃるので、ビスポークの注文においても、派手ではなくて、本当に繊細な、微妙な細かい部分のところまでオーダーされます」と、日本のユーザーを分析する。

また、これからロールス・ロイスは、「ハイタッチ戦略」をとるとニッケイン氏。聞き慣れない名称なので詳細を尋ねると、「クライアントの皆様と直接コミュニケーションをとり、声を聞き、関係を深めていくという戦略です」と答えた。韓国ソウルに、ビスポークマネージャーが常駐する「プライベートオフィス」を開設するのも、その戦略のひとつだ。日本の顧客ともこれまで以上に緊密なコミュニケーションをはかりながら、ブランドのこれからの方向性を理解していってもらおうというのだろう。

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