「電動モビリティ」最大手のLime、日本再上陸の勝算 2026年までに日本市場で2万台の展開を計画
東洋経済オンライン / 2024年9月9日 23時0分
この視認性の問題は、低速モードで車道に入ってしまうなど、安全面での懸念につながる可能性がある。ユーザーの慣れも必要だが、より直感的で分かりやすいインターフェースの開発が望まれる。
総じて、Limeのサービスは都市部の短距離移動に適しており、特に着座式シートボードは幅広い年齢層に受け入れられる可能性を感じさせた。ただし、安全面での継続的な改善と、利用者への丁寧な説明が今後の普及には不可欠だろう。
着座式シートボードが予想外に好調
Limeには3種類のモビリティがある。電動キックボード、着座式の電動シートボード、電動アシスト自転車だ。日本にはキックボードとシートボードが5対5の比率で導入されている。電動アシスト自転車については「日本には導入しない。理由は欧米人の体格に合わせて作られていて大きいから。今後日本人に合わせた電動アシスト自転車を製造して提供を検討している」(サイ氏)という。
ハートマンCOOによると「当初は着座式シートボードの日本投入を計画していなかったが、高齢化が進む市場背景を踏まえて導入を決めた」と説明する。
結果的にこの戦略は当たっていたようだ。サイ氏によると、日本では着座式シートボードとキックボードを半々で導入しているにもかかわらず、日本進出後2週間の利用実績では着座式が7割、キックボードが3割という比率になっているという。ただしこれは、着座式が普及しておらず、目新しいからという理由があるかもしれない。
ちなみに、着座式シートボードは利用距離も長い傾向にあるという。サイ氏は「通常は2~3kmの利用距離が多い中で、着座式は最長で19kmの利用も見られた」と話す。
これらのデータを踏まえ、ハートマンCOOは「日本は、この着座式シートボードにとって世界一の市場になる可能性がある」と述べた。
実は日本には2度目の進出
実はLimeは日本への進出は2回目だ。前回は2019年9月、福岡市で小規模に実証実験として展開していた。この実証実験は、Fukuoka Smart Easts推進コンソーシアムが主催するFukuoka Smart Eastプロジェクトの一環として行われ、LimeはKDDIおよび株式会社デジタルガレージと共同で参画した。
しかし、コロナ禍での大幅な戦略変更の流れを受けて、Limeは一度日本市場から撤退した経緯がある。
ハートマンCOOは、2017年の創業から2020年までの間、Limeが世界中で非常に急速に拡大していたことを説明した。しかし、当時のLimeは現在とは大きく異なり、低価格のスクーターを使用し、都市との協力関係もあまり築けていなかったという。彼は当時のアプローチを「荒っぽい」と表現した。
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