「電動モビリティ」最大手のLime、日本再上陸の勝算 2026年までに日本市場で2万台の展開を計画
東洋経済オンライン / 2024年9月9日 23時0分
日本市場への再参入のきっかけとなったのは、日本の規制環境の変化だ。2019年時点では日本市場は規制が厳しく、大規模な展開が困難だった。しかし、法改正により電動キックボードの位置付けが変わり、「特定小型原付」として認められたことが追い風となった。
2019年の日本参入の経緯から、KDDIとデジタルガレージはLimeの親会社であるNeutron Holdingsの株主でもある。この関係について、ハートマンCOOは「KDDIさんとデジタルガレージさんは弊社の投資家であり、今後も継続的に対話を進めていきます」と述べ、両社との関係の重要性を強調した。
適度な規制があるほうが競争しやすい
ハートマンCOOは、日本のような適度な規制がある市場のほうがLimeにとって競争優位に立ちやすいと指摘した。この点を説明するために、韓国市場での経験を例に挙げた。Limeは2019年10月に韓国市場に進出したが、わずか3年後の2022年6月にサービスを中断することを余儀なくされた。
「韓国では政府がマイクロモビリティをあまり規制していませんでした。そのため、プレイヤーが多すぎ、スクーターが溢れ、非常に混乱した状況になっていました」とハートマンCOOは述べた。規制が少ない市場では過度な価格競争に陥りやすく、安全性への投資が困難になると説明した。
「価格が低すぎて車両数が多すぎると、安全性への投資ができなくなります。これは理想的な事業運営方法ではありません」とハートマンCOOは強調した。Limeは韓国政府に対して1年以上にわたって規制の導入を求めたが、最終的に政府が規制を導入しないことを選択したため、撤退を決断したという。
一方で、日本市場については「日本が積極的に合理的な規制を作成したことに、私たちは非常に興奮しています。これは都市にとっても、消費者にとっても、そして企業にとっても良いことです」と評価し、適切な規制環境下での事業展開に期待を示した。
日本市場に合わせて、Limeは車両の改造も実施している。具体的には特定小型原付のサイズに適合するようにハンドルの一部をカットしており、時速6kmの歩行用モードに対応するためのボタンを追加している。
26年3月末までに2万台を目指す
Limeは日本市場での急速な拡大を計画している。サイ氏は、具体的な数値目標を示した。
現在、東京6区に展開しているLimeだが、2025年3月までには関東の主要都市への拡大を予定している。さらに、来年度には関西エリアへの進出も視野に入れている。
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