「電動モビリティ」最大手のLime、日本再上陸の勝算 2026年までに日本市場で2万台の展開を計画
東洋経済オンライン / 2024年9月9日 23時0分
車両台数に関しては、段階的な増加を計画している。参入当初は200台からスタートしているが、2024年12月末までに2000台、2026年3月末までには2万台まで増やす意向だ。さらに野心的な目標として、2030年までには全国展開を目指しており、約6万台規模での運用を計画している。
ポート拡充の課題
Limeの日本展開において、最大の課題の一つがポートの拡充だ。シェアリングモビリティサービスの利便性向上には、十分な数のポートが不可欠だが、都心部での用地確保は容易ではない。現時点で、Limeは東京6区で40ポートを展開しているが、これを大幅に増やす必要がある。
新規参入するLimeにとって、この状況は大きな挑戦となる。サイ氏は、「ポートの獲得はお客様の利便性向上につながる重要な要素です」と述べ、ポート密度を高めていく方針を示した。同時に、「お客様のニーズに合わせて適切な場所に設置することも大切」と付け加え、単に数を増やすだけでなく、戦略的な配置の重要性も強調した。
この課題は、Limeに限らず業界全体の問題となっている。実際、NTTドコモ傘下とソフトバンク傘下のサービスがポートの共通運用を実施するなど、都市部のポート不足に対応するため競合同士が協調する動きも見られる。
Limeはこの課題に対し、いくつかの対策を講じている。まず、三井住友海上火災保険との包括的パートナーシップを締結し、同社の代理店や顧客の店舗などでのポート開設を推進する。具体的な提携対象は明らかにされていないが、スーパーやコインパーキング、ホテルなどが候補として挙げられている。
さらに、Limeは柔軟なポート設置方法を採用している。返却場所をテープで囲うだけでポートを設置できるため、比較的容易に新しいポートを展開できる利点がある。この方式は、日本で電動キックボードシェアリングサービスを先行して展開しているLUUPも同様に採用しているものだ。
安全性の課題
電動キックボードを巡っては、交通マナーや安全性について懸念を持つ人が多いことが、統計などで明らかになっている。警察庁の発表によると、2023年7月の改正道路交通法施行後、電動キックボード利用者の交通違反摘発件数が急増している。施行から2023年12月末までの半年間で、全国で7130件の違反が摘発された。特に懸念されるのは、違反件数が月を追うごとに増加していることだ。7月には405件だった摘発件数が、12月には1879件と約4.6倍に上昇している。
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