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「電動モビリティ」最大手のLime、日本再上陸の勝算 2026年までに日本市場で2万台の展開を計画

東洋経済オンライン / 2024年9月9日 23時0分

このような状況下、Limeは安全性確保のため、一般的な電動キックボードの乗車時の取り決めを徹底している。具体的には、利用開始時に年齢確認を行い、安全に関するクイズに全問正解することを義務付けている。これにより、利用者の安全意識を高め、基本的な利用ルールの理解を促進している。

加えて、Limeは独自の安全対策も導入している。ヘルメット装着率を高めるため、「ヘルメットセルフィ」というインセンティブ制度を設けている。これは、ヘルメットを着用した状態で自撮り写真をアップロードすると、10%の割引が適用されるというものだ。

また、交通違反者に対しては厳しい姿勢を取っており、違反が確認された場合にはアカウント停止の可能性があることを明確にしている。

最初の包括的提携を発表した企業が三井住友海上であることも、安全性の課題と向き合うために必要なことなのだろう。

三井住友海上は安全性の課題を巡って、適切な保険商品を通じて、万が一の事故やトラブルに備え、利用者が安心して電動キックボードを利用できるようサポートしていく方針だ。また、安全運転の啓発活動や利用者教育の推進にも積極的に取り組むという。

日本特有の問題として、6km/hモード以外での歩道走行が記者から指摘された。これは歩行者の安全を脅かす重大な問題だが、サイ氏の回答は「GPSデータを活用して不適切な利用を検知し、警告を出すシステムの導入も検討している」というもので、具体性を欠いている。

歩道走行の検出についてはGPSデータだけの活用では技術的に難しい。サイ氏の回答はLimeが現時点で歩道での高速走行を技術的に検知し、完全に防止する仕組みを持っていない可能性を示唆している。6km/hモード以外の歩道走行を防ぐ技術的解決策の早期導入は、今後のLimeの日本展開における重要な課題となるだろう。

新たなモビリティ、普及のカギは

Limeの日本展開において、当面の最大の課題はポートの確保だろう。サイ氏は「電動キックボードが浸透すればポート用地は増える、今の課題が5年後も課題とは限らない」と楽観的な見方を示したが、当面は用地不足が深刻な都市部でポートをどう確保するかが喫緊の課題となる。

国内展開の浸透では、地方都市との連携のあり方が注目される。都市部とは異なる形の協力関係が求められる中で、Limeが掲げる「地域との強固な関係構築」というポリシーがどのように実践されるか、その真価が問われることになるだろう。

安全性の向上は継続的な課題となりそうだ。Limeは交通安全教習など啓発活動を積極的に行う方針を示したが、歩道の高速走行への対策など、技術的手段で解決すべき課題も残されている。

これらの課題にLimeがどう対応し、克服していくかが、同社の日本市場での成功を左右する重要な要素となるだろう。

石井 徹:モバイル・ITライター

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