ヤマハ「MT-09 Y-AMT」セミオートマバイクの潮流 試乗して感じたホンダE-クラッチとの違いは?
東洋経済オンライン / 2024年9月10日 9時30分
一方、MT-09 Y-AMTは、シフトペダル操作が不要なため、早い段階でつま先立ちの姿勢を取れる。そのため、ステップ荷重などがよりスムーズにできるといったメリットも感じられた。もちろん、このあたりは、好みや乗り方の問題もあるので、シフトペダルの有無について、一概に善し悪しはいえない。だが、少なくとも筆者は、MT-09 Y-AMTに乗ってすぐのときよりも、ある程度慣れたときのほうが、乗りやすさなどのイメージがアップしたことは間違いない。
極低速のターンでの便利さ
MT-09 Y-AMTは、細い路地などで、5km/h以下の極低速でUターンするときなども、かなりスムーズだった。とくに一般的なMT車では、極低速の走行は、繊細な半クラッチやアクセルの操作を行わないと、エンストして立ちゴケする可能性もある。バイク初心者などには苦手な人も多いだろう。
一方、クラッチレバーの操作自体がないMT-09 Y-AMTは、かなりゆっくりとした低速走行時でも、車体がギクシャクしづらいし、エンストの心配もない。とくにATモードにすれば、シフトチェンジもバイクが行ってくれるため、ライダーはアクセルとブレーキの操作のみに集中できる。ほぼ止まる寸前のような低い速度でも車体がギクシャクしなかったのは、エントリーユーザーなどにはありがたいといえるだろう。
以上がMT-09 Y-AMTに乗ってみた主な印象だ。前述のとおり、Y-AMTに近い最新システムには、ホンダE-クラッチもあり、それを搭載したCBR650R/CB650Rの2024年モデルが6月より発売中だ。筆者は、これらモデルにも試乗した経験があるので、ヤマハのMT-09 Y-AMTと比較した乗り味も紹介する。
まず、仕組みや操作方法の違い。ホンダE-クラッチは、クラッチレバーやシフトペダルを備えつつ、操作を自動化した新機構だ。発進、変速、停止などでクラッチレバーの操作は一切不要。ただし、変速操作にシフトペダルを使うことは、従来のバイクと同様となる。
また、ライダーがクラッチレバーを使った操作を行いたい場合は、レバーを握るだけで手動操作へ変更可能。さまざまなスキルや嗜好のライダーに対応している点は、ヤマハのY-AMTと同じだが、オーソドックスな変速方法も選べるのが大きく違う点だといえる。
ホンダとヤマハでの相違点
乗り味の違いは、まず、発進時の加速。CB650RなどのホンダE-クラッチ搭載車も、発進時の加速はかなりスムーズ。クラッチレバーを駆使し、手動の半クラッチ操作を行うよりも、さらに余裕ある加速を味わえる。とくに登り坂で停車し、再発進する際は、違いが顕著だ。通常は、リアブレーキを徐々にリリースしながら、半クラッチもうまく使わないと車体が後退する場合もある。そうしたシーンでも、ホンダE-クラッチ搭載車なら、不安なくスムーズに発進できるといえる。
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