なぜ今、企業経営に「倫理」が求められるのか 「パーパス経営」の理想と現実をつなぐ判断軸
東洋経済オンライン / 2024年9月25日 9時30分
数年前から企業経営の分野で「パーパス」が注目されている。ミッション、ビジョン、バリューの上位概念として、「自分は何のために存在するのか」、そして、「他者にとって価値のあることをしたい」という信念を意味している。組織や企業の存在意義を問い直す言葉だ。
立派なパーパスを掲げる企業は増えたものの、その実践に行き詰まっているところが出てきている。それは「パーパス」というきれいごとを実践するには、倫理(エシックス)を日々の【行動原理】にまで落とし込むことが求められていないためである。
それでは、倫理とは何か、そして、どのように企業経営に取り込んでいくべきか。「パーパス経営」ブームの火付け役でもあり、日本を代表する企業のアドバイザーを長く務めてきた名和高司氏が、このたび『エシックス経営』を上梓した。
以下では、パーパス経営に続く、エシックス経営の考え方を企業の事例とともに紹介する。
コンプライアンスを超えて
企業の不正・不祥事が後を絶たない。2015年のコーポレートガバナンス改革元年から10年近く経ってなお、残念な事態が続いている。いや、むしろ、悪化しているといってもよい。なぜだろうか?
ガバナンスが形骸化しているから、という指摘は、一見もっともに聞こえる。経営を理解していない素人社外取締役を集めても、まともなガバナンスができるわけがない(もっとも、それが執行側の隠れた意図なのかもしれないが)。
最近は大物経営者OBが名を連ねることも増えたが、過去の経営経験は、次世代ガバナンスへの移行の妨げにすらなりかねない。一方、社内出身の取締役を見渡しても、ガバナンスの本質をきちんと習得している人財は稀だ。
そのような取締役会では、昨今の事態を憂慮し、コンプライアンス(法令準拠)の強化を唱える論調が絶えない。もちろん、法令違反はもってのほか。経営者が法令違反を侵したり、見て見ぬふりをしているのであれば言語道断だ。
しかし本来、コンプライアンスを律するのは、そもそも執行、そして現場側の本務である。現場が正しく行動しない限り、仕組みを強化しても、必ず綻びは出る。
それどころか、「コンプライアンス過剰」に走ると、現場も経営も萎縮してしまい、できるだけリスクを回避しようとする。その結果、ますます業績は好転せず、株主からプレッシャーを受ける中で、規制や監視の網をくぐろうとあがく。悪循環は続く一方だ。
この記事に関連するニュース
-
令和は「真面目なモラハラ夫・妻」が増えているワケ
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月21日 9時15分
-
DataRobot、AIを安全に活用するための生成AIツールを発表
PR TIMES / 2024年12月16日 22時40分
-
SASの専門家、2025年に起こる行政機関におけるAIの岐路を予見
Digital PR Platform / 2024年12月16日 11時5分
-
JICの出資要件の見直し(行動規範・倫理規範、ハラスメント防止規程制定)について
PR TIMES / 2024年12月7日 20時40分
-
SAS最新調査で明らかになった、保険業界における生成AIに関する3つのポイント
Digital PR Platform / 2024年11月29日 11時2分
ランキング
-
1管理職にならない選択が「普通」に? 「責任の重圧」「年収減の可能性も」…“なりたくない”リアルな理由とは
まいどなニュース / 2024年12月21日 20時32分
-
2ゴーン被告「日産の内部はパニック状態」「ホンダはこの取引に押し込まれた」
読売新聞 / 2024年12月21日 18時30分
-
3「フレッシュネス」チキンに"もも肉"使うプライド クリスマス時期の「チキン難民」を狙う戦略
東洋経済オンライン / 2024年12月22日 9時0分
-
4103万円の壁問題とともに浮上した106万円の壁撤廃は別の経済苦を生むか パート主婦「手取りも減るってことですよね」コンビニオーナー「スポットで働く人を増やすか」
NEWSポストセブン / 2024年12月22日 7時15分
-
5「青春18きっぷ」利用者に朗報!“豊橋ダッシュ” 解消へ 東海道線の乗り換え利便性が向上
乗りものニュース / 2024年12月22日 7時12分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください