新型「EX90」から見るボルボが描く電動化の未来 「2030年までの完全BEV化」方針は撤退だが
東洋経済オンライン / 2024年10月2日 9時0分
2030年までの完全BEV(電気自動車)ブランド化を宣言していたボルボが9月4日、方針の転換を発表した。内容は、2030年までの世界販売の90~100%をBEVそしてPHEV(プラグインハイブリッド車)とするというもの。ただし、将来的な完全BEV化という目標は変えないとした。
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今年に入って以降、アメリカそしてヨーロッパの多くの、同じような目標を掲げていたメーカーが方針を転換、撤回してきていただけに、発表の内容自体には正直なところ驚きはない。しかしボルボは既存のプレミアムメーカーの中ではもっとも電動化に意欲的、野心的なブランドであり、内燃エンジン開発、生産のための中国の吉利汽車(ジーリー)との合弁会社Aurobay社は、すでに手放している。
何よりジム・ローワンCEOは、ほんの少し前に「私たちが電動化に全力を注ぐのは、それが正しいことだからです」と話し、断固とした姿勢で電動化を推進するとしていたのだ。潮目が短期間に、完全に変わったと強く感じさせたのは確か。この変わり身はブランドイメージにも影響なしとは言えないだろう。
フラッグシップとなる3列シートのSUV
そんなボルボは、しかし何と同じ週に、LA近郊でジャーナリスト向けに新しいBEVの国際試乗会を開催しており、まさにそこに私も参加していた。試乗したのはボルボ「EX90」。ブランドの新たなフラッグシップとなる3列シートSUV(スポーツ多目的車)のBEVである。
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実はEX90は、すでに日本にも上陸しているコンパクトSUVのBEV、「EX30」よりも先の2022年11月に発表されるも、これまでステアリングを握る機会が訪れなかった。意欲的な自社開発のソフトウェアの問題でデリバリーが遅れに遅れ、この6月から生産が開始されていた。そして、ようやくの試乗がこのタイミングとなったのだ。
しかも、それとは別にボルボは9月4日に「90/90デー」と題して、このEX90のデリバリー開始と、PHEVやマイルドハイブリッド車などをラインナップする「XC90」のアップデート版の発表を本国スウェーデンで同時に行っていた。
BEVと内燃エンジンを積むふたつのフラッグシップを一堂に揃えて、かつそこで電動化の方針転換を発表する。これが、EX90のデリバリー遅れを逆手にとった戦略なのだろう。
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