石破政権の誕生は「日本経済正常化」の第一段階だ 真の経済発展政策「社会資本・主義」が始まる
東洋経済オンライン / 2024年10月5日 9時30分
さらに、今後、世界は外交的にも、自然環境的にも、予期せぬ困難にいつ直面するか、わからない。20世紀最高の歴史学者の一人だった、ウィリアム・マクニール シカゴ大学名誉教授は『戦争の世界史』の中で、17世紀から19世紀にかけての欧州勢力の脅威に対してアジア諸国の中で唯一日本だけが有効な対策を講じることができたのは、民族的に等質な社会であり続けたために、社会の存亡の危機感から一体感を維持できたから、としている。
彼によると、他のアジア諸国は、支配層と被支配層が異民族であったために、有効な対処ができなかった、としている。
民族という表現、捉え方は、私は妥当とは思わないが、含意としては、社会の一体感が存在すること、現在のアメリカのように、分断されていないこと、他の欧州いや世界中の国に置いて、社会が格差などにより分断されている中で、日本では格差が拡大していると言っても、相対的にはましなほうであり、そのことが、今後、大きな予期せぬ危機に対して、社会が一致団結して跳ねのける可能性を残している、ということになる。
だからこそ、これ以上、格差を広げない、格差社会だという人々の認識を定着させない、解消させるための政策は、長期的には、経済発展にとって必要不可欠のものなのである。だから、今年や来年のGDPの数字上の拡大よりも、企業の長期的な潜在力、人々への投資、そして、社会への投資が、より重要だ、ということになる。だからこそ、社会資本・主義政策は、真の経済発展戦略となるのである。
もっと具体的に言えば、株式市場だけが盛り上がっても、社会資本の充実とはならない。バブル的な不安定さは、それを望む人もいれば望まない人もいる。
それは、社会資本にならない。年金、介護の不安のないこと、財政の安定、物価の安定、これらがあって初めて、貧しい人も、ハンディキャップのある人も、前向きに経済活動ができる。
真の経済発展を目指すために必要なこと
だから、真の経済発展を目指すためには、遠回りのように見えても、間接的に見えても、社会の土台、社会資本を充実させなくては、始まらない。
そして、日本は、これまで充実した社会資本を蓄積してきた。新しい時代に即した、社会資本の充実も必要だが、その前に、これまで蓄積して豊かだと思われてきた社会資本が磨耗し、修復が必要になっている。傷んでいる地方、傷んでいる人口社会、傷んでいる家庭、コミュニティ、そして政治。これらを修復することこそが、社会資本の土台を強くすることである。
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