石破政権の誕生は「日本経済正常化」の第一段階だ 真の経済発展政策「社会資本・主義」が始まる
東洋経済オンライン / 2024年10月5日 9時30分
だから、困難や苦労に直面している人、社会、弱者を助けることが、経済発展につながるのである。地方創生は、地方で育ち、基礎的な人格形成をした人々が、都会という大舞台に出て活躍し、経済的富を獲得し、社会にも生み出す。
しかし、それには、地方社会、という社会資本がしっかりしていなくては、大都会での経済的成功、そして、大都市の経済発展という果実は実らないのである。
各地方社会という多様性を維持した社会インフラなしの大都会だけでは、果実だけを獲ろうとする「クリームスキミング」は持続不可能になるのである。だからこそ、経済発展を取り戻すためには、地方創生政策で地方社会を立て直す必要があるのである。
需要増大に依存しすぎて、膨張を続けて、1990年のバブル崩壊からの大停滞となってしまった日本経済の回復を、アベノミクスは需要を補うことで助けた。目先の痛みをなくすことで、本質的な経済の力を回復しよう、という体質改善に向かうことができた。
しかし、それは異次元緩和第1弾となった2013年から2014年で完了したのだが、やめることができずに、長期に継続しすぎてしまった。その修正と、本質的な経済の供給力改善に取り組み始めたのが、岸田政権、新しい資本主義だった。
新しい資本主義では需要サイドから供給サイドに焦点が移った。生産性向上、賃金上昇、すべてうまくいったともいえないが、少なくとも、日本経済の本当の問題点の認識が広まったということで功績は大きい。
「石破政権の課題」とは何か
そして、第3段階として、需要サイド、供給サイド、という部分的なものではなく、市場経済という一部ではなく、社会全体の問題に取り組むことで、真の経済発展を目指す道へ日本経済を立て直すのが、これからの石破政権の課題である。
株式市場に関していえば、バブル的なブームで勢いをつけて、どん底から抜け出したアベノミクスによる株価上昇、岸田政権の株主重視に経営者の舵取りのバランスを変えることによって、株主たちに評価されるようにした、株価上昇戦略、PBR(株価純資産倍率)改善によるさらなる日本株ブームは、それはそれでいいが、その先が重要なのである。
つまり、この第1のバブル的な勢い(ホップ)、株主へのプレゼンだけを改善した第2段階(ステップ)ときて、第3段階は、本質(ジャンプ)である。つまり、バブルでも、株主へのプレゼンでもなく、実体経済における主体としての企業、雇用、賃金、利益、そして、社会に貢献し、社会資本の充実を側面で支援するような企業を生み出す、要は、ファンダメンタル的な企業の発展の段階に入ったのである。
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