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石破政権の誕生は「日本経済正常化」の第一段階だ 真の経済発展政策「社会資本・主義」が始まる

東洋経済オンライン / 2024年10月5日 9時30分

これはひとつ問題がある。本質を追求すると、それは短期的なブームを作り出して短いタイムスパンでキャピタルゲインを狙うトレーダーたち、長期投資家といいながら、結局は株価が上がってキャピタルゲインを得るために売却して儲けるファンド投資家に支配されている21世紀の株式市場においては、企業価値を、真の意味で充実、発展させる経営者との利益の食い違いは解消されないからである。

いや、昨今の状況(高市トレードや石破トレードに見られるような、そして、その乱高下が、経済政策の本質的な価値や実体経済をあらわしていると勘違いしているほとんどのメディアや有識者)からすれば、食い違いは、本質に企業や政府が取り組めば取り組むほど、拡大する可能性がある。

したがって、イシバノミクスでは、株価は、現在の膨張している水準からは下落するであろう。しかし、それこそが、長期的な発展の始まりとなるサインであると、私は見ている。 

実は、ここまでの部分は、石破総裁誕生のサプライズの動揺が世間を埋め尽くしていた、9月28日に執筆した。

石破政権で実現しなくても、パラダイムシフトは起きる

その後、10月1日に石破内閣総理大臣が誕生し、解散が発表され、就任記者会見があった。そこで示されたもの、石破氏が首相として打ち出し始めたものは、「社会資本・主義」ではなく、ただの「新しい」資本主義に後退してしまったようだ。

ほぼすべての経済政策は、これまでの政策の継続である。さらに、植田和男日銀総裁との会談後の取材で「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」、と金融政策にも具体的に言及した。従来どおりのオールドパラダイムであるだけでなく、最悪の間接的介入だ。

しかし、もっとも重要な後退は、「地方創生は経済成長の起爆剤」という表現である。イシバノミクスの唯一の目玉、地方創生が、そのようなバブル的で膨張的な発想の延長線上にあっては、何の意味もないし、そもそも大失敗に終わる。

地方を「守る」という表現に示されていたように、社会の基盤が壊れつつある現状を、止血し、修復し、地道に立て直すこと、これこそが、現在、日本社会が求め、結果的に持続的な経済発展を可能にするものであり、「社会資本・主義」となりうるのである。

選挙のための、アジテーションフレーズだとしても、180度違う表現は実を表している。これはイシバノミクスが、「社会資本・主義」という新しい時代を切り開くきっかけになる可能性を腐らせる、不胎化させるものである。

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