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その接待、1万円が「経費で落ちるか否か」の分岐点 「2024年度税制改正」を踏まえた経理上の留意点

東洋経済オンライン / 2024年10月7日 12時0分

飲食費の1万円基準に該当する金額は、インボイスの有無によっても変わる(写真:ahirun/PIXTA)

2024年度税制改正により、交際費から除かれる飲食費の上限が5000円から1万円に引き上げられました。自社の経理方式やインボイスの有無によっても、飲食費の1万円基準に該当する金額が変わってきます。そこで、交際費に関する税制改正の内容とともに、交際費における飲食費の税務上の取扱いを確認します。

『企業実務』の記事を再構成し、佐竹正浩税理士事務所代表の佐竹正浩さんが解説します。

2024年度税制改正で「飲食費」の上限が1万円に

2024年度税制改正では、交際費に関して2つの改正が行なわれました。

【図】2024年の税制改正による「交際費税制」の全体像

1つは交際費から除かれる飲食費の上限額の変更で、1人あたり5000円だった上限額が1万円に引き上げられました。

もう1つは、接待飲食費の50%損金算入特例と中小法人の定額控除限度額(年800万円)の特例の適用期限延長で、その適用期限が、2027年3月31日までと3年間延長されました。

法人税における交際費の取扱いは、租税特別措置法により時限措置として定められていますので、その時々における取扱いとその期限を確認するようにしましょう。

交際費に関する税務の基本ルール

(1)原則は損金不算入

法人が事業のために支出した交際費は経費に該当しますが、法人税の計算では損金とならない、つまり経費扱いにできないというのが基本ルールになります。

このルールは、法人の経費の無駄使いを減らして財務体質を高めつつ公正な法人間競争を促すことを目的に、交際費の一部または全部を損金に算入しないという租税特別措置法に基づいて1954年に定められました。それ以降、内容を改正しつつ適用期限が繰り返し延長されて現在に至ります。

(2)損金になる交際費は限定的

法人税の計算では、交際費は損金にならないというルールがあるものの、一定の要件を満たす場合に損金にすることが認められています。具体的には、次の3つに該当する場合に損金にすることができます(図表1)。

①1人あたり1万円以下の飲食費(以下、「1万円基準」)

②資本金が100億円以下の法人(※1)が支出する交際費等のうち飲食費の50%相当額以下の金額(以下、「50%損金算入」)
(※1)グループ通算制度の適用法人で通算グループ内に資本金が100億円超の通算法人がある場合を除く(以下、「資本金100億円以下の法人」)

③資本金が1億円以下の中小法人(※2)が支出する交際費のうち年800万円以下の金額
(※2)資本金が5億円以上の法人の100%子会社や、グループ通算制度の適用法人で通算グループ内に資本金が1億円超の通算法人がある場合を除く(以下、「資本金1億円以下の中小法人」)

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