アウディが「意外な場所」にメディアを呼ぶワケ 稚内の風力発電所で行われたツアーに参加して
東洋経済オンライン / 2024年10月7日 10時0分
なにしろ稚内では、年間の平均風速が7m/s。風速10m/s以上の日も、年に90日を超すそうだ。私が乗った新千歳空港から稚内へ行く航空便も、稚内空港での強風で着陸が困難とのことで、2時間もディレイが生じたほど。
稚内で風力発電を利用し、変電・蓄電を行うのが北豊富変電所。蓄電量は「e-tron、8000台分に相当」(アウディジャパン)だという。
そこから、右手にぎりぎり日本海の存在を感じながら南下し、約3kmにわたって28基の陸上風車が並ぶ、幌延(ほろのべ)風力発電株式会社のオトンルイ風力発電所を訪れた。約50mの直径を持つブレードが、ぐわんぐわんと音を響かせて回り続けている。
幌延風力発電によると、年間予想発電量は約5000万kWh。これは、一般家庭なら約1万2000世帯分の消費をまかなえる電力量だ。
「石油火力発電所で発電した場合と比べて、CO2の排出量で約35,000トンの削減になります」と同社のホームページに書かれている。
このツアーでは、札幌市厚別区の北星学園大学の学生らとともに、NPO法人 北海道グリーンファンドの鈴木亨理事長と、北星学園大学経済学部経済学科の藤井康平専任講師が参加しての「未来共創ミーティング」も、アウディジャパンの主催により旭川で開催された。
エネルギーの地産地消を実行している地域の行政担当者や事業者、学生たちの取り組みを直接見聞きし、“持続可能な未来を一緒に考え、想いを共有する仲間づくりの旅”だと、アウディジャパンは説明する。
自力での取材が難しい場所へ行けて、ここで書いたような現状に触れられたのは、アウディジャパンの熱意によるものだ。
未来共創ミーティングで印象的だったのは、「北海道の自然エネルギーで作った電力を本州に送れるシステムの構築があればいい」という発言だった。話題になっている長距離海底直流送電や、蓄電池による輸送のことだろう。
北海道では、発電できる電力量は多くても、需要が足りない。余ってしまっているのが現状なのだ。そのうえで、シェーパース氏は次のように話す。
「電気を“出していく”ことが難しいというのは、驚きでした。作った電気をどこにどうやって売るかを考えるのが、課題だということも。それでも、電力が余っているのは、BEVにとって明るい情報です。このさき、日本がBEVに向かない市場だと判断されないようにすることが、アウディジャパンにいる自分の仕事です」
BEVへの関心を高めるために
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