日本復活に「経済政策」は不要どころか、逆効果だ 石破政権が今本当にやるべきこととは何なのか
東洋経済オンライン / 2024年11月2日 8時30分
これは、景気対策よりもさらに経済にマイナスだ。なぜなら、今や政府は民間セクターに比べて情報優位であるどころか、むしろ劣位である。したがって、民間企業に見抜けない次の産業を見つけられるはずがない。
点数を稼ぎたい政治家がやりたがることだが、すでに誰もが今もっとも重要になっていると知っている産業に、遅れて補助金を突っ込む。もうすでに出遅れているから、補助金は負け組に突っ込むだけであり、無駄になるどころか、すでに取られた産業を諦めて次に移るのが遅れ、次の産業にも企業は移れず、補助金は無駄になり、企業も政府とともに共倒れになる。
何とか追いついたとしても、いわゆるレッドオーシャンでいちばん儲からない産業になっているから、資本効率は最低で、日本企業の利益率が低いことを助長する結果に終わる。
本来重要なのは、人的資本の蓄積を支援することによる労働生産性の向上、働き手の長期的な価値の上昇のための政策だが、これは、掛け声だけで、無駄なことあるいは効率の悪いことをやっている。
例えば、今はリスキリングという言葉が躍っているが、これはほとんど無駄である。理由は3つある。
リスキリングが失敗する「3つの理由」
第1に、スキルは必要に応じて身に付けるものであり、オンザジョブトレーニングが効率的、最先端であり、学校や職場外で受ける研修では、フレッシュな価値はないものであり、スキルはフレッシュである必要がある。もし、プログラミングや単にエクセルなどのソフトの使いこなしであれば、そんなものはリスキリングなどというほどのものではなく、これまでもやる気のある人であれば、個人で勝手にやっている。
第2に、今述べたように、リスキリングは、自発的にやるものであり、それは自分で何が必要か見つけてやるものであり、やる気があれば、自然と自分でわかるし、やっている。つまり、リスキリングに必要なのは、政府の支援でも雇用主の支援でもなく、本人のやる気であり、それがすべてなのである。
第3に、汎用性の高い「学び」のための支援は、企業で働きながら外部の研修を受けたり、学校に通ったりすることを企業の負担(支援)でやる枠組みで、そのコストを政策的に負担するというというパターンであるが、これは駄目である。
小泉進次郎氏が自民党総裁選挙で解雇規制について提唱していたが、解雇する被雇用者に対して、企業がリスキリングを支援するようにさせる、というのは、これこそ最悪の枠組みである。
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