日本復活に「経済政策」は不要どころか、逆効果だ 石破政権が今本当にやるべきこととは何なのか
東洋経済オンライン / 2024年11月2日 8時30分
どうしてこれからクビにする従業員に、素晴らしい人的資本を蓄積するような支援を、雇い主がするであろうか。それなら、クビにする前にしているし、そもそもクビにしない。政府の金(カネ)でテキトーなアリバイ作りのリスキリングをするだけである。役に立つリスキリング支援は現状の日本の政策の考え方では、ほぼ現実的には存在しえない。
最後に、長期的な経済成長戦略として、多くの人が想定しているのは労働力の増加である。これを政治家に聞けば「少子化対策」「移民政策」だと言うだろう。しかし、これでは最悪であり、むしろ害悪である。なぜなら、少子化問題、移民問題は、経済のための手段として捉えては絶対ダメだからだ。
経済の問題ではなく、社会の問題だからである。どのような社会を作るか、その理念のもとに行うべきことであり、社会の基盤をどうするか、経済に関して関係するとすれば、経済を支える基盤としてどのような社会にするか、という問題なのである。社会というインフラ、その社会のインフラをどうするか、それが少子化問題、移民問題なのである。
このように見てくれば、失われた30年と言われる1995年から現在まで、政府の経済政策が効果を上げなかったのは当然だったのである。やり方が間違っている、あるいは、やっていることを単にアピールだけするために、短期の経済政策規模を何十兆円と膨らませたり、現金をバラまいたりと、経済発展をそもそも目的としてない政策ばかりを行ってきただけなのである。
では、どうしたらいいのか。短期の需要サイドも中期の供給サイドも政府の出番ではもはやなくなっている。民間セクターに任せるのがベストなのだ。
政府がすべきなのは「質の高い義務教育インフラ整備」
では、政府は何をするべきか? もちろん、社会資本の蓄積である。政府が誕生し、最初に行うべきことは、社会基盤を作ることである。政府が生まれたときから社会資本の蓄積は重要で、21世紀になってさらにその重要性が高まったのである。
つまり、民間セクターが発達し、経済政策に関しては、足りないものがなくなった。しかし、一方、社会資本の蓄積が、経済規模に比して相対的に不足するようになり、21世紀には、それが国家間の違い、差をつける決め手になってきたのである。
上述の、現在行われているだめな経済政策と本当は必要な政策に関する一連の議論を見ても、短期、中期、長期のいずれにおいても、必要なことは社会資本の蓄積に集約される。
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