黄色い涙を流す幼女を看取った母の闘病手記 胆道閉鎖症で亡くなった娘と向きった4年間
東洋経済オンライン / 2024年11月4日 9時40分
胆道閉鎖症という難病により、20歳で亡くなった娘を悼むT医師の日記を読み込んだ前回記事(「娘の死から最期まで22年の日記に吐露された心情」)。そのT医師の妻Sさん(故人)は「胆道閉鎖症の子どもを守る会」に入っていた。
【画像8枚】茉友香ちゃん誕生時や、その後の壮絶な闘病の様子を記した手記
その縁でか、Sさんは同じく胆道閉鎖症で娘を亡くした、とある母親の手記を保有していたことが、遺品整理の際にわかったという。
T医師の日記の縁により、Sさんの次女から託されたその手記は、1冊のコクヨの青いB5キャンパスノートだった。経年を感じさせる黄ばみはあるものの、丁寧に保管されていたようで、反りやページの剥がれなどはない。表紙をめくるとその裏に1枚の便せんが貼られていた。
茉友香が逝ってもう半年。本当に早いものです。
<お久しぶりです。
茉友香が逝ってもう半年。
本当に早いものです。
今やっと茉友香の短かった生涯をまとめました。
何か役に立ちたいと思い 皆さんで読んでもらいたいです
乱筆でかなり読みづらいと思います すいません。
私がいろいろ経験したこと等 また おはなししたいと思います。>
その次のページから、茉友香(まゆか)ちゃんの誕生を記した日記が始まる。日付は「昭和62年4月16日」とある。1987年。そこから茉友香ちゃんの4年弱の命が尽きる平成3年=1991年3月まで、我が子の様子と書き手の心情を中心に丁寧な記録が綴られていた。
手記に綴られた闘病の経緯は30年以上前のもので、その間にも医療は進歩している。ただ筆者もほとんど知らなかった胆道閉鎖症という病気の恐ろしさを伝えるために、本稿を執筆しようという思いに至った。
【画像8枚】4歳を目前に亡くなった茉友香ちゃんの闘病を綴った手記
胆道閉鎖症の子どもを守る会は、1973年5月に有志が立ち上げた患者とその家族の自助団体だ。ホームページにこの病気の概要が書かれている。
<肝臓と十二指腸との間にある胆道が何らかの原因で内腔が閉塞している病気です。
肝臓は身体のなかの代謝を司る臓器ですが、同時に胆汁を造り、これを胆道を通じて十二指腸に排泄します。胆汁は赤血球が古くなって壊れたときに生じるヘモグロビンから造られるビリルビンという黄色い色素や胆汁酸を含みます。胆汁酸は脂肪の吸収に大きな働きをします。
この胆道が詰まっていれば胆汁は肝臓の中にたまってしまい肝細胞を壊し、ビリルビンが血液の中にまわって黄疸が見られるようになります。(略)放っておくとやがて肝臓が次第に冒され、おしまいには肝硬変となり命にかかわる大変な病気です。わが国では一万人産まれると一人がこの病気になっています。>
誕生後の母子対面が果たせないまま1週間
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