黄色い涙を流す幼女を看取った母の闘病手記 胆道閉鎖症で亡くなった娘と向きった4年間
東洋経済オンライン / 2024年11月4日 9時40分
いまだ根本の原因は分からず、国の難病指定を受けている。治療しながら成人を迎える人も少なくないが、症状が重く外科手術が功を奏しない場合は生後2~3年で命を落とすこともある。
茉友香ちゃんはこの病を抱えて生まれた。母である女性――仮にAさんとしよう――が残した育児日記の書き出しにはこうある。
<昭和62年4月16日 出産
予定日は4月3日でした。
でも陣痛らしきものはまったくなく 4月16日朝医師より 入院するように言われ 点滴で陣痛誘発剤を使い 午後4時ころより少しずつお腹がはってきました。
(略)
朝6時28分待望の女児がうまれました
羊水がかなり少なかったのと少々難産だったため仮死状態ですぐ保育器にいれられました。
体重2630g 身長44cm 少々小柄でした。>
ようやく生まれた我が子だが、ずっと保育器に入れられており、数日間は対面すら叶わなかった。胆道閉鎖症(当時は先天性胆道閉鎖症=CBAと呼ばれていた)の疑いがあると告げられたのは1週間後のこと。翌日にようやく母子対面となったが、すぐに地域の大きな病院に転院するよう勧められた。
転院したのは、出産病院と同じ岐阜県内ながら自宅からは2時間半以上かかる国立長良病院(現・長良医療センター)。間もなくして病名が確定し、胆管の代わりの胆道をつくる外科手術が行われることとなった。
<何時間 泣き続けたか やっと手術がおわり もどってきました
小さなからだに お腹に大きなガーゼがはられ もう痛々しくて、また左胸にIVH(※筆者注:静脈に栄養を輸液を流し込む治療法。そのチューブを指すと思われる) 手に点滴 鼻からチューブ モニターもつけられ 酸素ボックスにいれられてました
そばにいるだけで何もしてやれず 見ているのもつらく また泣くだけでした。
でもこれからが大変なんだ
もしかしたら これでよくなるかもしれないんだ
あと何年生きられるのだろう。
とにかく茉友香のために精一杯やってやろう
茉友香は頑張っているのだ
私がメソメソしていてはいけない がんばろう
茉友香といっしょにCBAと戦おうと思いました>
(1987年6月9日)
生後間もなく2回の外科手術
術後、一度は快方に向かい退院の話が出たものの、血中のビリルビンの数値が再び上がっていき、8月末に再手術が決定する。生後4カ月。母子ともに、転院したとき以外に外の空気を吸っていない。
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