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黄色い涙を流す幼女を看取った母の闘病手記 胆道閉鎖症で亡くなった娘と向きった4年間

東洋経済オンライン / 2024年11月4日 9時40分

この引用文からもわかるように、Aさんはしばしば振り返りの視点で記述している。「平成元年1月1日」との記述もあるので、元の日記帳があり、そこから要点を抜粋しつつ、後から清書した時に感想を書き加えたのかもしれない。あるいは、元の日記の空白に後から書き加えた可能性もある。いずれにしろ、このノートには2つの時間が流れていることになる。

入院は半年に及んだ

入院は短期では済まず、約半年間に及ぶことになった。食欲が戻らないばかりか、鼻からの出血と下血が度々あり、命の危機となる血管の破裂すら疑うほど体調が悪化してしまう。

<ねつが下がらないため点滴をつける
 夜下血する。
 とうとう食道静脈瘤のための出血か。
 はじめてのことでおそろしくて・・・>


(1989年4月10日)

胆道閉鎖症では肝臓に血液が流れ込みにくくなることで食道静脈瘤ができることがある。また、ビタミンKの不足や血小板の減少によって出血が起こりやすくもなる。脳出血で命を落とすケースもあり、深刻な状態に向かう不安感が少しずつ高まっていることがノートから伝わってくる。

この間、Aさんは2人目の出産のために別の病院への転院も経験した。時間的な猶予がないこともあり、帝王切開での出産。2人目の我が子をゆっくり愛でる余裕もなく、茉友香ちゃんと、自分の代わりに付き添っている母が待つ長良病院に戻った。

誕生日を越えた頃、茉友香ちゃんの出血は次第に落ち着くようになり、つかまり立ちも覚えた。体重は9キロを上回り、身長も70センチを超えている。2歳児としては小柄だが、確実に育っている。急変の怖さはあったが、2度目の退院を決めた。

<いろいろ考えました。
 でも○○先生(※筆者注:主治医)は帰れる時に帰った方がよい
 病院にいても出血するときはする。
 だめな時はだめだと言われました。
 それでも親の私からみると病院にいれば何らかの手当はしてもらえるという考えがあるからまよいました
 血液検査の結果はそれほどわるくはないけど 肝臓も状態は前回の退院時とみるとわるくなっていることはたしか。
 食道静脈瘤がいつ破れつするのだろうとおびえながら それを覚悟しても退院。
 茉友香には少しでも家庭ですごさせてやりたい。>
(1989年6月16日)

大量の吐血、弟の結婚式に出席できず

義実家に帰ると、2人目の子がずいぶん大きく育っていた。Aさんがだっこしても泣き、義母に甘える姿を見てショックを受けもした。しかし、ようやく家族全員が揃った生活を始めることができたのは確かだ。

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