インドは国産化?「新幹線輸出」なぜ難航するのか ベトナムも「自国技術」で高速鉄道建設表明
東洋経済オンライン / 2024年11月8日 6時30分
さかのぼること約10年、安倍政権が国を挙げて推進してきた日本の新幹線輸出。インドネシア、インド、タイ、マレーシア、ベトナムといった高速鉄道の有力輸出先に対して予算を投じ、ロビー活動や事前準備調査が進められてきた。
【写真を見る】ハノイ―ホーチミン間を約30時間かけて走る現在のベトナムの列車やインドの時速160km通勤列車、建設が進むタイの高速鉄道など
しかし、この中で高速鉄道が開業に至ったのは中国が受注したインドネシアのみという皮肉な結果に終わっている。タイ、マレーシアでも中国による整備区間が先行して着工した。もはや輸出先の候補として当てはまらないと見るのが妥当だろう。
残るのはベトナム、そして新幹線方式で唯一着工しているインドである。しかし、これらも雲行きが怪しくなっている。どうして新幹線輸出はうまく進まないのか。
ベトナム「自国の予算と技術で」高速鉄道
10月上旬、ベトナム運輸省は南北高速鉄道(ハノイ―ホーチミン間・約1500km)の建設を、自国予算と自国の技術で行う用意があると発表した。総工費およそ673億ドル(約10兆3910億円)という巨大事業であるが、予算承認に向けた審査がまもなく始まる。
【写真】ハノイ―ホーチミン間を約30時間かけて走る現在のベトナムの列車やインドの時速160km通勤列車、建設が進むタイの高速鉄道など
同国政府は2025年から2026年にかけて改めて実現可能性調査を実施し、高速鉄道プロジェクトを開始するとしている。2027年末にハノイ―ビン間(約283km)およびニャチャン―ホーチミン間(約366km)の用地買収と業者選定を始め、北側、南側からそれぞれ着工する予定だ。全線開業は2035年末を見込む。
設計最高速度は時速350km、軌間は新幹線と同じ標準軌(1435mm)であるものの、旅客専用ではなく、5つの貨物駅を設置して機関車牽引の貨物列車も運行する。
フランス植民地時代に建設された既存の鉄道インフラ(南北統一鉄道)は老朽化が激しく、線路付け替えなどの大規模な改修なしに速達化、輸送力増強は見込めない。都市間輸送は貨物、旅客ともに高速鉄道に移行する方針で、貨物列車は中国に直通する。わずか10年ほどでの開業は難しいとは思われるが、長らく進捗の見られなかった南北高速鉄道計画がいよいよ動き出しそうだ。
ベトナム政府は2023年1月、高速鉄道建設について日本に支援を要請している。
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