インドは国産化?「新幹線輸出」なぜ難航するのか ベトナムも「自国技術」で高速鉄道建設表明
東洋経済オンライン / 2024年11月8日 6時30分
ベトナムにおける国際開発プロジェクトの難しさは2024年7月19日付記事(『日本支援「ホーチミンメトロ」いまだ開業しない謎』)で詳報したとおりで、日本のみならず中国も含め、各国のセールスがフェードダウンしていることは十分に留意すべき点ではある。しかし、「自国予算・自国技術」というベトナム政府の二大方針は、日本がこれまで取ってきた新幹線輸出姿勢への強烈なアンチテーゼになっているとも言え、決して無視できない動きだ。
新幹線輸出は事実上不可能に?
ベトナム政府はこの方針について、外国への依存を軽減し、適切な運営、管理を確保するためであると説明する。いわゆる債務の罠を回避するために海外から金を借りないというスタンスを表明したわけだが、運輸省のグエン・ダン・フイ副大臣は「どの国からの融資にも条件が付くことが多いからだ」と述べたとも報じられている。
現在、日本の円借款案件で鉄道インフラ輸出に多く用いられているSTEP(本邦技術活用条件)では、車両や信号、電気関係など「上物」と呼ばれる鉄道運行にかかわる部分は、基本的に日本からの輸出か、または日本企業の製品を用いなければならない。よって、限られたメーカーしか対応できず、1社しか入札しないという状況もしばしば発生する。これが日本支援のプロジェクトがコスト高になる要因の一つだ。
「自国予算」の方針についてベトナム政府は、主に中央政府の予算、国債、地方からの拠出金、低金利融資で賄い、それでも不足する場合に限って海外からの融資を受けるとしている。だが、あくまで国が外国からの借金を作らないという部分が焦点であり、海外の官民からの投資に不都合はないはずで、結果的にはPPP(官民連携)スキームで建設されるのが現実的なところだろう。いずれにしても、政府間契約でのプロジェクトにはならない。
では「自国技術」という面はどうか。現状で、ベトナムが自国生産できる鉄道車両は貨車・客車やディーゼル機関車に限られており、いきなり高速鉄道車両の国産化は厳しいと言わざるをえない。だが、ここでいう自国技術とは、外国メーカーによるベトナム国内での生産のことだ。
フイ副大臣は「外国からの融資は最小限とし、ベトナムへの技術移転の規定を含めるべきだ」とも述べている。仮に日系企業が現地生産をすれば、STEPでもベトナム側の要望も満たすことはできる。ただ、ゼロからの現地生産となれば、単なる輸出よりもさらなるコストアップとなり、さらに納期や品質を守るには尋常ではない労力を要する。日系メーカー関係者は、そこまでして受注しようとする民間企業はまずないと言う。
この記事に関連するニュース
-
世界最速の中低速磁気浮上式鉄道エクスプレスが着工―中国
Record China / 2024年11月13日 18時30分
-
日本最速の“無人運転”列車に乗ってみた 速い・静か・眺めイイ!! もともと開発は航空会社!?
乗りものニュース / 2024年11月12日 14時12分
-
「新幹線国際会議」台湾で開催、何を議論したのか 高速鉄道に関心持つ世界の要人がずらり参加
東洋経済オンライン / 2024年11月11日 6時30分
-
新幹線「ノロノロ通過駅」ができたワケ 大減速を強いる「徳山カーブ」の事情 むしろお楽しみスポット?
乗りものニュース / 2024年11月9日 15時12分
-
米大統領選、トランプとハリス「鉄道政策」の争点 バイデンが進める鉄道復権の動きは継続するか
東洋経済オンライン / 2024年10月24日 6時30分
ランキング
-
1クリスマスケーキに異変…『卵』の価格高騰止まらず 夏の猛暑の影響で今後は鳥インフルエンザによる卵不足の恐れも
東海テレビ / 2024年11月21日 21時22分
-
2業績悪化の日産、アメリカでの希望退職に1000人が応募か…世界で9000人削減方針
読売新聞 / 2024年11月21日 22時2分
-
3食用コオロギ会社、破産へ 徳島、消費者の忌避感強く
共同通信 / 2024年11月22日 1時18分
-
4さすがに価格が安すぎた? 『ニトリ』外食事業をわずか3年8カ月で撤退の原因を担当者に直撃「さまざまな取り組みを実施しましたが…」
集英社オンライン / 2024年11月21日 16時49分
-
5為替相場 22日(日本時間 9時)
共同通信 / 2024年11月22日 9時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください