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インドは国産化?「新幹線輸出」なぜ難航するのか ベトナムも「自国技術」で高速鉄道建設表明

東洋経済オンライン / 2024年11月8日 6時30分

一方、インドはこの間、独自に動力分散方式による準高速車両の開発に乗り出しており、設計最高時速180km(営業最高時速160km)の「Vande Bharat Express(ヴァンデ・バーラト・エクスプレス)」として結実し、2019年2月に営業運転を開始した。これも「メイク・イン・インディア」の一環で、モディ首相の肝いり政策である。

2022年に量産化が始まり、2024年10月時点で70編成以上が投入され、今後も大量増備が進む。これらの車両は営業距離がおよそ500~800kmの区間で運用されているが、より長距離での使用を目的とした設計最高時速220kmの「Vande Bharat Sleeper(ヴァンデ・バーラト・スリーパー)」の開発も進んでいる。プロトタイプ編成はインドメーカーの中で比較的品質や技術力が高いとされるBEML社が製造し、試運転が始まっている。

これらヴァンデ・バーラトシリーズの車両は、広軌と呼ばれるインド在来線の1676mm軌間用であり、インドとしては将来的な海外展開のために、新幹線と同じ世界標準である1435mmの標準軌を高速で走れる技術を確立したいという思惑がある。2023年10月に一部区間が先行開業したデリーの通勤新線(RRTS、営業最高時速160km)は標準軌だが、車両はアルストムが現地生産した。

いきなり時速360kmに対応した車両をインド国内工場で製造することは不可能で、当初の国産化発言は、あくまでも価格引き下げの交渉材料、いわば「揺さぶり」と見られていた。

しかし、インド政府は本気だった。10月15日、BEML社はムンバイ―アーメダバード間向けの設計最高時速280kmの高速車両8両2編成を受注したと発表。2026年までの納入を見込む。現地報道によれば、E5系タイプ車両の調達に向けた交渉が難航し、具体的な導入スケジュールも見通せない中で今回の発注に至ったとし、インド政府は価格引き下げに努力しているとのことだ。

BEML製の高速車両1両あたりの単価はおよそ2億7900万ルピー(約5億1070万円)で、E5系タイプの4億6000万ルピー(約8億4200万円、いずれも開発費等を除いた純粋な車両価格)より大幅に安い。もっとも、E5系の導入を諦めたわけではなく、国産の中高速タイプ車両とE5系タイプの併存を検討している模様だ。

とはいえ、日本の関係者からすれば、寝耳に水、信じられない事態である。

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