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インドは国産化?「新幹線輸出」なぜ難航するのか ベトナムも「自国技術」で高速鉄道建設表明

東洋経済オンライン / 2024年11月8日 6時30分

そもそも、日本は新幹線システム、特に車両の部分に関しては技術移転を一貫して認めていない。つまり、相手国が「自国技術」を掲げた時点で、新幹線輸出はほぼ不可能となる。前述のような基本設計が出たことからも、日本の新幹線をそのまま輸出するという道は途絶えたことになる。

中国ないしは欧州メーカーの技術協力を仰ぎ、大陸と共通規格の高速鉄道を建設することが予想されるが、ベトナム側が明確な意思表示をしたということは、日本にとって悪い話ではない。足を突っ込んでからでは、後戻りできない。

建設進むインドは「独自の車両国産化」

一方、円借款プロジェクトとして2017年9月に着工し、当初は2023年開業を見込んでいたインド高速鉄道(ムンバイ―アーメダバード間、約505km)も、価格交渉を発端とする日本、インド両政府間の駆け引きが泥沼化している。

当初、着工が遅れた理由は、ほとんどは用地買収に関わるものだった。これは地元、マハーラーシュトラ州の首長が高速鉄道反対派であったことが理由で、2022年の選挙で州の政権が変わったことでこの問題は解消した。現在の用地買収率は100%に近く、この問題はほぼ解消したと言ってよい。ただ、高速鉄道の高架橋は着々と姿を現しつつあるものの、全線の一斉開業は絶望的な情勢だ。

インド高速鉄道はSTEP案件であるが、コストを下げるために現地技術でも対応できる土木関係の部分に日系企業は携わっていない。借款供与条件である日本の技術活用は、先述の「上物」部分を輸出することで規定比率をクリアすることになっている。

その「上物」を巡って、2024年の初めごろから不穏な空気が流れ始めている。高速鉄道は総工費約9800億ルピー(約1兆7940億円)、そのうち8割が円借款で賄われる超巨大プロジェクトだが、大幅なコスト超過は必至の情勢で、1.5倍以上に膨れ上がるともいわれる。そんな中で価格交渉が難航している。

とくに高すぎるとインド側から批判の対象になっているのが車両だ。近年の物価高や半導体不足などで価格が上昇していることもあるが、コンサルによる見積もり価格が甘すぎたというのが大きい。加えて、インド高速鉄道には東北新幹線のE5系に準じた車両を導入することが前提となっているため、対応できるメーカーが限られることからも、価格がなかなか下がらない。

そこで、インド側は高速鉄道車両の国産化を主張し始めたのだ。

もともとインド高速鉄道の国産化は既定路線で、インド側は「メイク・イン・インディア」を掲げ、日本側もこれを約束していた。計画どおりなら10両編成24本が導入されるE5系タイプ車両も、6本程度をインド国内でノックダウン生産することも検討されていた。しかし、スケジュール、コスト、技術的問題、それに新幹線技術の開示可否、どれをとっても早急な判断は難しく、棚上げされたままになっていた。

進む独自車両開発、2026年には完成?

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