セブン「上げ底疑惑」で思い出す"最強のコンビニ" 徹底的にファンに向き合う「セコマ」の凄さ
東洋経済オンライン / 2024年11月16日 8時30分
というわけで、北海道にやってきた。
道を走っていると、かなりの頻度でセイコーマートを目にする。店の外には電光掲示板があって、商品の宣伝とともに、北海道各地の天気や気温が表示されている。これだけでも他のコンビニチェーンとは雰囲気が違う。
中に入ってみよう。店内を見ていて気付くのは、食品の豊富さだ。
とくに、惣菜などの取り扱いが多い。スーパーマーケットなのでは?と思ってしまうぐらいに惣菜を取り扱っているところもある。
北海道は広く、スーパーマーケットなどに行くのにも遠い場所が多い。そんな中でセイコーマートにこうした食品があると、道民にとってはありがたい。
ちなみにセイコーマートは、通常のコンビニが行うドミナント戦略を行っていない。これは、ある地域に大量出店することによってその地域でのシェアを独占し、他社がそこに出店しにくくする戦略のことだ。
しかし、よくよく考えればこれ、消費者にとってはとくに大きなメリットがあるわけではない。実際都心部では50m先に同じコンビニがあったり、通りを挟んで2つ同じコンビニがあったり、なんてことは日常茶飯事。けれど、こうした状態は消費者にとって強い魅力があるかといえばそうではない。
セイコーマートはドミナント戦略を「加盟店の存続の支障となる可能性がある」として行っておらず、逆に大手のコンビニが出店しない過疎地や島嶼部にも積極的に出店を行っている。
王道の戦略からは離れているように見えるが、これによって、過疎地でも利便性が高まり、「道民のライフライン」になる。まさに、主要顧客層で、同時に「ファン」でもある「北海道民」を第一にした戦略を行っているのだ。
さっそく、ナイス・グレイトフル・デッド、である。
「道民第一主義」から生まれた「ホット・シェフ」
実はこうした過疎地戦略の一環として行われ、現在ではセイコーマートの顔になっている取り組みが「ホット・シェフ」である。
これはセイコーマートで販売されている店内調理の出来たてのお弁当シリーズで、現在ではほとんどの店舗で展開されている。
もともとは離島部でライフラインが途絶えたとき、店内で備蓄米と冷凍の食材を使った店内調理ができれば料理の確保ができる、ということで始まった取り組みである。
まさに道民第一主義の結果ゆえに誕生した仕組みだが、それが離島部以外の顧客にも「出来たてのお弁当」が食べられるということで評判となる。いまや、同社のホームページでは「セイコーマートの顔」として紹介されているほどだ。
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