セブン「上げ底疑惑」で思い出す"最強のコンビニ" 徹底的にファンに向き合う「セコマ」の凄さ
東洋経済オンライン / 2024年11月16日 8時30分
さまざまな戦略から、セイコーマートは「道民ファースト」の姿勢を強く持っていることがわかる。まさに「グレイトフル・デッド」的だ。
生活インフラへの挑戦も
このように「食のインフラ」として特筆すべきセイコーマートだが、同社では食に限らない「インフラ」整備を心がけている。コンビニを本当に各地域の「拠り所」にしようとしている。
例えば、あるセイコーマートの店内には「防災情報」として近隣での災害情報などを掲示する掲示板があった。実はセイコーマートなどは各自治体と協定を結んでおり、災害時の避難所や、シェルター的な役割を果たすことがある。
2018年の北海道胆振東部地震の際には、グループ会社である北海道ミネラルウォーターの工場をいち早く復旧、24時間体制で水を生産し続け、被災者に配布するなどの対応を行った。
また、各店舗では、電気や通信回線が使えなくても使える小型会計端末を全店舗に配布しており、そのため他のコンビニチェーンが閉店しているときも開店をした。北海道にあるセイコーマートの95%が営業を継続することができたのだ。
これらは、東日本大震災やその他の災害での経験からマニュアルを改定し続けたことにもよるというが、まさに「道民ファースト」の姿勢をよく表しているといえるだろう。
日本フランチャイズチェーン協会が発表した、2024年8月の国内コンビニ店舗数は5万5730店舗で前年同月よりも80店舗の減少。微減ではあるが、前年を下回るのは26カ月連続で、その数は天井に達している。
そうなってくると「店舗数を増やす」以外で、各社の魅力を向上させなければ、コンビニの今後の成長は難しくなってくる。そのときに重要なのが、「これでいい」ではなく「これがいい」と思わせるコンビニ作り。その意味で各コンビニの「ファン」をいかに作り、彼らを大事にしていくのかが重要になってくる。
セイコーマートが行っている「北海道民ファースト」の取り組みは、こうした「ファン作り」「ファンを大事にする」方向と合致しているだろう。
真に優れた企業は、ファンに「恩返し」をしている
『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』では、「社会に恩返ししよう」という章があり、援助する慈善事業やテーマを慎重に選び、それを企業カルチャーの一部として取り込んで長年にわたって継続すると、企業イメージの向上につながることを指摘している。
バンドが慈善ライブをすることはわかりやすい慈善事業だが(同書によると、グレイトフル・デッドは20年近くにわたって慈善ライブを開催し、寄付金を集めてきたという)、企業だって、ファンや地域に恩返しすることができないわけじゃない。
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