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セブン「上げ底疑惑」で思い出す"最強のコンビニ" 徹底的にファンに向き合う「セコマ」の凄さ

東洋経済オンライン / 2024年11月16日 8時30分

セコマがこれまで行ってきた数々の施策は、そんなことを教えてくれるのだ。

これらは数字にも如実に表れている。

セイコーマートは日本版顧客満足度調査で9年連続1位を獲得(ちなみに、セブン-イレブンはこの調査で3位以内に入らなかった)。また、ファンベースと日経クロストレンドが行う「顧客幸福度調査」でも1位を獲得している。

興味深いのは、この「顧客幸福度調査」では、コンビニが業界全体の中でも低い数値だったことだ。

この原因について日経クロストレンド編集部は「もはや電気、水道、ガスに近いインフラと化していて、便利に利用しているのに、気分が高揚する対象から外れてしまっているのかもしれない」と述べる。

確かにインフラに高揚感を覚えることは少ない。コンビニにおいて「ファン」を作ることはより一層難しいことなのだ。その中で、セイコーマートは確かに「ファン」を作り続けている。

だからこそ、セイコーマートから学べることは多いのではないかと筆者は思う。

セイコーマートから学べることは多い

『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』は「グレイトフル・デッドは当時活躍していたすべてのほかのロックバンドと正反対のやり方で利益をあげた」として、次のように書く。

「成功したビジネスは、グレイトフル・デッドのようにそれぞれの業界の常識をひっくり返すことで、自分たちに有利な競争の場を作った。常識とみなされているやり方を拒否することでライバルと差別化し、顧客に対しても利益を与えることができるようになったのだ」

セイコーマートが行うことは、まさにこれかもしれない。大手コンビニが常識的に行ってきたことに対して、正反対のやり方を取る。

ドミナント戦略を行わないのもそうだし、PBを自社工場で作ることもそうだ。また、コンビニ各社が基本的に全国均一な店舗を展開しているのに対し、セイコーマートはそれぞれの店舗によってかなり売り場の構成が異なる。強固な自社物流を作り上げてきたのも特色だ。

例えば、外国人観光客が多く集まることでお馴染みのニセコ・ひらふ地区にあるセイコーマートでは、1万4000円のシャンパンが売られている。もともとセイコーマートは酒屋を祖業としていたこともあってワインの取り扱いが多いのだが、ニセコでは外国人観光客のためにそうした品揃えを拡充している。

このような「常識と反対の取り組み」によって、まさに「北海道ローカル」という「自分たちに有利な競争の場」を作ったのがセイコーマートだろう。そうした地域の人々に徹底して訴求するやり方は、コンビニ数が天井に達した現在、きわめて時代に即したものになりつつある。

セブンの騒動に始まり、既存のコンビニのあり方が問われている現在、セイコーマートの躍進から学べることは多いのかもしれない。

ちなみにセブンの騒動は…

谷頭 和希:都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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