半導体のラピダスはこのままでは99.7%失敗する 成功するためにはいったい何をすればいいのか
東洋経済オンライン / 2024年11月16日 8時30分
つまり、日本国内のメーカー、消費者は、負け組の製品を、間違った国家戦略により、使うことを強いられたのと同じ状態になるのだ。こうして、日本経済が徐々に弱っていく。競争力がトータルで徐々に失われていく。国家的プロジェクトに巻き込まれてしまったから、とことん破綻となるまで、抜けるわけにもいかない。泥舟に国全体で乗り続けて、すぐにおぼれずに泥舟に乗っていて良かったね、と思う可能性が0.1%である。
これは、今回例示した件だけでなく、ありとあらゆるところで、起きており、起きてきた。今回の件で、いちばん被害にあうのは、北海道経済かもしれない。これに懸けてしまい、別の活動に割くべき、金、人、リソースが奪われてしまい、しかも、逃げ道はない。
しかし、何も今回のプロジェクトだけではない。2009年に稼働を開始したシャープの堺工場は閉鎖され、2004年にはNECエレクトロニクスの半導体工場として稼働を始めた山形県の鶴岡工場は、ルネサンス、そしてソニーおよびTDKと事業主と製造する製品を変えていった。
だいたい5年でその工場の賞味期限は過ぎ、失敗に終わっている。
その他、小さな規模ではありとあらゆる事例がある。かつて工場誘致に躍起だった地方自治体は、工場の誘致ではなく、地域内の自力活性化及び多様な人材を呼び込むというソフト戦略に切り替えている。地方自治体は10年ちょっとで学んだが、国は25年ではまだ時間が足りないようだ。
もうひとつ。この失敗は何も国家プロジェクトに限ったことではない。ほとんどすべての日本企業に共通する失敗である。シャープも東芝もソニーもパナソニックも、ほとんどの企業が失敗している。
なぜなら、日本企業はすぐに社運を懸けて、全力で投資するからである。そして、失敗して、破綻の危機に陥る。何が悪いのか。社運を懸けたことである。いかなるときも、1つのプロジェクトに社運を賭けてはいけない。スタートアップでもないのに、捨て身になってはいけない。第2に、懸け方が間違っている。懸けに負けた後のシナリオを用意していない。しかし、いちばん間違っているのは、勝てない懸けに懸けていることである。
短期間で投資を回収する21世紀
前述のように、21世紀の特徴は、先が見えない、変化が激しいことである。技術的にどれが勝ち組になるかわからない。消費者の嗜好がいつ変わるかわからない。だから、皆、製造業での設備投資という固定するような投資はやめてしまったのだ。
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