半導体のラピダスはこのままでは99.7%失敗する 成功するためにはいったい何をすればいいのか
東洋経済オンライン / 2024年11月16日 8時30分
これが、第4の理由も成立しなかった構造的要因である。もはや、百年の計を立てようにも、百年の計と言った瞬間におろかなのである。原理的に存在しえなくなったヴィジョンというものを百年かけて達成しようとするのだから、これ以上滑稽なことはない。
しかも、この21世紀の構造変化、原理的変化に気づいていない人々は、百年間、百年の計を十年ごとに立て続け、毎回失敗を続ける。十年に一度、百年に一度の危機が来ることを自ら招いているのである。そして八十年ぐらい経って、何かおかしいと気づくのである。
だから、ラピダスが失敗するのは、政府がだめであるからでも、日本が特にだめであるからでもなく、無理なことをしようとしているから、無理だ、というだけのことなのだ。そして、これは半導体に限った話ではない。先端技術に関する国家プロジェクトはすべて失敗が必然であり、しかも、それは政府のせいではなく、21世紀のせいなのだ。それに気づかない政府に問題はあるのだが。
最後に、2つ述べておく必要がある。最初から気になっていたかと思うが、100%から99.7%を引いた残りである0.3%とは何なのか。それは、「(もちろん目分量で)0.1%ずつ、3つのシナリオ」があるということだ。
「0.1%×3つのシナリオ」とは何か
第1に、世界のすべての国が鎖国をして、すべてのものを国内でまかなわなければならなくなった場合である。半導体に限らず、小麦も大豆も石油もウランもAIも、自国製にしないといけない。半導体を作る以前に、これでは、日本は死んでいる。というかすべての国が死んでいる。だから、考えることは意味がない。0.1%の確率で世界は終わる。
第2に、世界が分断されて、アメリカ、中国、その他のように分かれた場合、必需品は最小限なんとか入手できるかもしれないが、半導体だけ入手できない場合。しかし、この場合は、半導体だけでなく、いろいろなものが足りないであろう。
半導体が手に入ったとしても、それを利用して製造した車を売る先がないであろう。そもそも、このような場合のシナリオは0.1%の確率で起こりうるが、その場合、半導体を100%自給する準備をするよりも、日本国がよりよい外交戦略や外交主体を持てるように、政府組織を整備しておくことがどう考えても重要だ。
第3に、そこまで外交上悪くはないが、半導体をできる限り国内製にしたい、と政治的に日本国家が思ってしまった場合。理由は政治家か、官僚か、国民感情か、何かはわからないが、そういうことは起こりうる。このときは「国内で半導体を作っておいてよかった」ということになるかもしれないが、しかし、その半導体が世界一いい半導体である可能性は低い。
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