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2029年に最低賃金1500円は「余裕で可能」な根拠 最賃の引き上げは「宿泊・飲食、小売業」の問題

東洋経済オンライン / 2024年11月19日 11時30分

さらに、企業の利益は毎年同じなわけではなく、近年は継続的に最高水準を更新しています。2023年度の経常利益は2022年度比で11.5兆円も増加しているため、1.4兆円の追加負担は何の問題にもならない計算です。

当然ながら、利益総額には利益率が高い大企業も含まれているため、中小企業の実態とも比較する必要があります。

最低賃金で働く人がすべて中小企業に従事しているわけではありません。さまざまなデータによれば、大企業に勤める最低賃金の労働者は全体の約2割だと見込まれます。したがって、1.4兆円の8割、1.1兆円が中小企業の負担となります。

中小企業の付加価値164.3兆円に対する割合は0.7%、人件費117.8兆円に対しては0.9%、中小企業の営業利益16.6兆円に対しては6.6%、経常利益25.4兆円に対しては4.3%です。2023年度の経常利益増加分2.6兆円に対する最低賃金増加分の割合は42.3%に相当します。

では、1500円に引き上げられたときの負担増、7.1兆円の場合はどうでしょうか。

全企業で見た場合、付加価値340.3兆円に対しては2.1%、人件費197.6兆円に対しては3.6%、営業利益75.6兆円に対して9.4%、経常利益106.8兆円に対しては6.6%に相当します。

中小企業だけで考えると、7.1兆円の8割にあたる5.7兆円は付加価値164.3兆円に対して3.5%、117.8兆円の人件費に対して4.8%、営業利益16.6兆円に対しては34.3%、経常利益25.4兆円に対して22.4%です。

2029年の最低賃金1500円は5年先ですが、5年前の付加価値と比較しても、中小企業の2023年度付加価値は25.4兆円増加しているため、5.7兆円の賃上げにも対応できる余力があります。

大企業、中堅企業、小規模事業者のいずれも、2023年度の経常利益は史上最高水準です。内部留保も大企業、中小企業ともに増加しており、2023年度の中小企業の内部留保は206.6兆円で9.6%増、大企業の7.7%増を上回りました。

中小企業の現金・預金も過去最高の174.7兆円に増加し、大企業の127.1兆円を上回っています。第2次安倍政権以降、中小企業の現金・預金は76.8兆円増え、大企業の増加分62.1兆円を超えました。

中小企業の問題ではなく、宿泊・飲食、小売業の問題

そもそも「中小企業への配慮」といった主張は、本質的な問題ではありません。

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