時代錯誤と逆風も「ミスキャン」なぜ開催される? 不祥事多発やルッキズム批判も「学祭から消えない理由」
東洋経済オンライン / 2024年11月19日 9時0分
ミス慶応といえど、ひとつの代から2人のキー局アナウンサーが出るのは“豊作”な年である。これによって、コンテストでグランプリや準グランプリを選出すること自体が重要なわけではない、ということがあらわになったと言ってもいいだろう。
「新たなミスキャン」は盛り上がっていない
次に、2020年にはルッキズムを助長しているといった批判の高まりを受けて、上智大学と明治学院大学のミスキャンパスコンテストが中止に。両大学とも「ソフィアンズコンテスト」と「Meiji Gakuin Contest」という、ルックスではない基準で選抜するコンテストを代替で開催した。
このときも筆者のもとにNHKのニュース番組から出演依頼があったが、「ルックスで選ぶよりも選考基準が曖昧で、学生が学生の人間力を測るなど不遜にもほどがあるし、盛り上がらないはず」といったことを事前取材で語ったところ、「今回は新たなコンテストで価値観を変えようとする学生の頑張りにスポットを当てたい」という理由で出演取りやめの連絡がきた。
実際の番組もそのようなつくりだったが、この番組に限らず、メディアはミスキャンパスコンテストの中止を“時代の流れをくんだ新たな価値観の創出”と捉え、この新たなコンテストを応援する空気を醸成していたように思う。
しかし、あれから4年が経ち、この2つのコンテストは残念ながら盛り上がっているとは言えない。スタートこそそれなりの注目を集めたものの、メディアも継続的に取り上げることはなく、明治学院大学のコンテストにいたってはXの公式アカウントのフォロワーが237名というありさまだ(2024年11月18日現在)。
同コンテストの2023年度の優勝者は「Miss of Miss Campus Queen Contest(ミスオブミスキャンパスクイーンコンテスト)」という各大学のミスコンのグランプリが集うコンテストに出場しており、そこで美を競っていることからも、新たなコンテストのコンセプトが候補者にすら浸透していない可能性もある。
もちろん「ルックスで学生の優劣を決めてはいけない」という主張は正しくはあるのだが、その“正しさ”は盛り上がらなかった。この2大学に続く大学はなく、前述したように今も多くの大学でミスキャンパスコンテストは行われているのが現実だ。
ミス慶応コンテストに関しては、別の新たな団体が主催して復活し、一時期は2つのミス慶応コンテストが存在する時期もあった。長らくミスキャンパスコンテストが行われていなかった京都大学でも、今年、開催しようとする学生の動きがあったほどだ。
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