時代錯誤と逆風も「ミスキャン」なぜ開催される? 不祥事多発やルッキズム批判も「学祭から消えない理由」
東洋経済オンライン / 2024年11月19日 9時0分
つまり、インフルエンサーとしての成功例が増える一方で、ミスキャンパスコンテスト出場者を芸能事務所が預かって大きくするという流れは成功例が出づらくなっているのだ。もちろん、どちらが優れているというわけではないが、ネットのない時代のシンデレラストーリーに比べれば、小粒化し、現実味が増してしまった印象だ。
また、候補者に毎日ネット投票をしている男性の支持者は、購買力が強い層ではないので、ミスキャン出場者が女性向けブランドを立ち上げたり、インフルエンサー化していく流れの中では、彼女たちにとっても重要なファンではなくなり、コンテストが終わるとお互いに離れていく。
そして、コロナ禍が訪れた2020年は、完全にミスキャンパスコンテストがオンライン化した年となった。
コンテストが無観客でしか行えないのでネット投票になり、さらに2010年代の後半に始まった、ファイナリストが動画配信アプリによってファンと交流し、そこでの投票がコンテストの結果に反映される流れも一気に加速した。
ここでは、学外の一般視聴者が多額の課金をするなど、大学の文化祭のイベントとしては異質な状況が出来上がることになる。
今年のミス東大ファイナリスト・舩澤帆津美は先月、「わたしが6年前から憧れて、憧れて、憧れ続けて、やっとの思いで出たミス東大を、課金ゲーに堕としてたまるかよ」とXにポストしており、その現状に憤っている様子がうかがえる。
大学の文化祭という特殊な空間の中で行われてきたミスキャンパスコンテストがオンライン化したことは、その特殊性が失われる決定的な要因になったとも言える。
セミプロ市場に、ミスキャンが“溶けた”
ミスキャンパスコンテストとは、先にも述べたように“女子大生という素人からプロになりうる人を発掘する試み”である。あくまで素人であり、プロではない彼女たちというグラデーション、その“あいだ”を楽しむものであった。
かつては、そもそもそんな領域にいる女子大生の絶対数自体が少なかったので、彼女たちが人目に触れるというだけで特殊性があった。
だが、SNSや動画配信アプリの発達により、そのような“かわいい素人”は簡単に見つかるようになった。今や“セミプロ女子大生”は広告研究会が発掘しなくても、ネット上に多く存在する。ミスキャンパスコンテストとはまったく別の領域で、それはそれでビジネスとして成立するほどに、大きなマーケットとなっている。
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