時代錯誤と逆風も「ミスキャン」なぜ開催される? 不祥事多発やルッキズム批判も「学祭から消えない理由」
東洋経済オンライン / 2024年11月19日 9時0分
そんなネット上でのセミプロ市場に、ミスキャンパスコンテストが“溶けた”と言っていいだろう。
大学生への訴求を目的に、インフルエンサーとしてミスキャンパスを起用していた企業も、実際にはフォロワー数の割に影響力がないことに気づいたのか、往時に比べて大手企業のスポンサードの数は減っていっている。
このような流れの中で、徐々にミスキャンパスコンテストは勢いを失っていった。しかし、それでも今年も多くの大学で開催されている。
その理由は何なのだろうか。
元も子もない話になってしまうが、基本的にはミスキャンパスコンテストが大人のビジネスではなく、あくまでも大学生の文化祭として行われているということが大きいだろう。つまり、仮に利益が出なくても成立はする。
スポンサーが多く集まっていた時期には、たとえばミス青山コンテストを主催する団体が、取材などの企業宣伝を伴わないファイナリストの稼働に関しても高額な費用を請求するなど、利益に走った時期もあった。
最近はスポンサーも離れていっており、大人のビジネスだったら撤退の時期かもしれないが、基本的には学生の“文化祭”であるという性質上、それもない。
たとえば、2006年度のミス慶応コンテストで、後にテレビ朝日アナウンサーとなった竹内由恵がグランプリを受賞したときには、「賞品がBMW」といった光景も見られたが、最近はそのようなバブリーな光景も減少傾向にある。
ネットと融合することによって、一時期はその本来の価値以上に肥大化してしまっていたミスキャンパスコンテストが、本来あるべき規模に戻ってきたと言ってもいいだろう。
それでも「ミスキャン」を開催する理由
では利益が目的ではなくなったときに、主催する彼らや、出場する彼女たちを駆り立てるものは何なのだろうか?
候補者の視点で言えば、飽和状態がゆえにネット上でも“見つかる”ことが難しくなっている現代において、出場するだけである程度のフォロワー数がつく、といううまみはまだ残っていると言ってもいいだろう。
女子アナの採用試験においても、ファイナリストに選ばれる程度には他者も認めるルックスであるという信用性がつくことで落とされづらくなる、という効用は健在だ。
主催する広告研究会の学生も、スポンサーの対応などをして大人慣れしているせいか、就職活動でうまくいくことが多い。
だが、さらに本質的なことを言えば、ミスキャンパスコンテストがなくならないのは、出場する側も、選ぶ側も、人に優劣をつけることを渇望しているからということなのではないだろうか。
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