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偏差値40から60まで"乱高下"した中学受験の結末 転塾を経て迎えた受験本番で起きたこと

東洋経済オンライン / 2024年11月24日 7時30分

そんな娘の姿に背中を押され、母親は正式入会の書類にサインをした。首都圏を中心にいくつも校舎があるこの塾は、自習室もあり、学校の宿題も見てくれるということで、共働き家庭の人気も高い。3年生の2学期の塾代は月に1万円にも満たないため、これで子どもの安全な居場所になるだけでなく、学校の勉強も見てもらえるのならば、悪い話ではないと思う家庭は多い。

「御三家クラス認定証」

こうして始まった新学期、両親は、このまま学習習慣さえ定着してくれればいい、その程度の気持ちだった。だがある日、こころちゃんは「御三家クラス認定証」なるものを手に塾から帰ってきた。

「なんか私、すごく勉強ができるみたいで、先生が中学受験に向いているって!」

親のほうは、これが塾の営業トークだということをきっと心のどこかではわかっていた。しかし、子どもはすでにその気になっている。

入塾を迷う両親に、塾はたたみかけてくる。

「こころちゃんはポテンシャルが高いです。中学受験コースで頑張れば、良い学校に入学できると思いますよ」

こうした声かけは実はよくあるものだが、初めての子育てである両親が知る由はない。

“挑戦させてあげたい”

小学3年生2月、こうして、こころちゃんの中学受験勉強はスタートした。

中学受験コースでの「成績の乱高下」

中学受験コースへの変更後すぐの成績はあまり良いものとは言えなかった。しかし、事前に担当から「中学受験コースの問題は一般クラスと比べると難しいので、最初はみんな成績が下がります」と聞かされていたため、本人も母親もさほど気にはしなかった。

だが5年生クラスになると、こころちゃんのやる気に陰りが見え始める。中学受験コースの勉強は想像より難しく、きちんと理解ができる単元もある一方、まったくわからないというものも出てきていた。特に算数でその傾向が強かった。

その様子は模試の成績にも表れた。4教科の成績を見ると、好調時には偏差値60台半ばまで上がるのだが、悪いときには10ポイント以上も落ち込んでしまう。普段は細かく娘の勉強を見ない母親も、この成績の乱高下はさすがに気になった。

塾の面談の際にも、成績の乱高下について何度か担当講師に相談をした。しかし、帰ってくる言葉はいつも「大丈夫です!」というものだった。

塾から聞いたこの言葉を信じ、志望校選びを始めていく。第1志望として考えたのは、青山学院横浜英和中学校。ここは創立140周年以上の横浜の伝統校、横浜英和女学院中学が前身の学校だ。2014年には青山学院大学の系属校となり、2016年には名称を現在の青山学院横浜英和へと変え、2018年には男女共学化に踏み切り、大きな変化を迎えていた。教育内容もさることながら、母親は給食があるのも気に入った。

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