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偏差値40から60まで"乱高下"した中学受験の結末 転塾を経て迎えた受験本番で起きたこと

東洋経済オンライン / 2024年11月24日 7時30分

「ほんとにこんなことで決めるのかという感じなんですが、学校の様子もよかったし、お弁当を作らなくていいのは共働きのうちにとっては助かるなと思いました」

こころちゃんもこの学校を気に入ったため、塾の面談時に志望校にしたいと伝えると、担当者は「こころちゃんの成績なら、なんの問題もなく合格できますよ」と太鼓判を押された。当時の青山学院横浜英和の偏差値は50台後半。好調時の60台前半の偏差値で見れば、確かに安全な学校に見える。

志望校は決まったものの、5年生の1月、こころちゃんは急に「塾に行きたくない」と言い始めた。理由を聞くと、「勉強が難しくてわからない」と言う。

母親の話を聞くに、実は5年生の夏あたりから自信を失っていたようだ。模試の成績が悪かった単元は学びの定着ができていなかった。塾で教えてもらったときには解けるのだが、テストでは解けないという状況が続く。基礎の定着ができていないため、発展問題が出るとさらに解けない。だが、1クラス20人の集団の中で「わかりません」と手を挙げて聞くことは難しかった。

「うちの子は塾全体でみるとおそらく成績は中間層だったと思うんです。悪くも良くもない生徒。問題児でもない、手のかからない子だったから、それほど気にかけてもらえなかったのかもしれません」

わからない所がある場合は授業後に質問の列に並んで自分から聞いていくようにしなければ、わからないまま終わってしまう。

「先生に質問するのもうまくできず、塾に行っても勉強がわからないから行きたくないと……」

転塾をきっかけにやる気が戻る

こうしてこころちゃんは塾へ行かなくなってしまった。しかし、中学受験をやめたいわけではなさそうだった。そこで母親が転塾を持ちかけると、娘はそれに乗ってきた。とはいえ、まもなく6年生クラスが始まるという時期。大手の集団塾ではなく、少人数制の塾への転塾を決めた。

受け入れてくれたのは1クラス8人までの塾。クラスも細かく分かれており、1学年5~6クラスはあったという。転塾後すぐに受けた模試の4教科合計の偏差値はなんと40台。6年生になるとみんなが頑張るのもあるが、それでもこの落ち込みはショックだった。

新しい塾から告げられたのは厳しい言葉だった。

「これは、死に物狂いでやらないと横浜英和にはたどり着けませんよ」

前の塾では横浜英和を本命に、チャレンジ校も決めようという話が出ていたほどだっただけに、母親もさすがに驚いた。しかし、この転塾はこころちゃんにとっては“正解”だった。

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