トランプ政権再登場で気をもむフィリピンの本音 南シナ海領有権や米比同盟は鉄壁のままか
東洋経済オンライン / 2024年12月14日 9時0分
アメリカのバイデン大統領とフィリピンのマルコス大統領は、両国間の同盟関係を強化してきた。これに日本も同調した。トランプ次期政権でその関係はどう変化するか(写真・Andrew Harnik/Getty Images)
フィリピンのマルコス政権が、2025年1月に発足するアメリカの第2次トランプ政権の出方に気をもんでいる。
他国も懸念する関税の引き上げに加え、送り出している出稼ぎ労働者のうち相当数を占める不法滞在者の取り締まりが強化されれば、送金頼みの経済への打撃となりかねない。
何より中国と激しく対立する南シナ海の領有権争いで、相互防衛条約を結ぶアメリカからこれまで通りの支援が得られるかどうか。
政権交代後も米比関係は不変とする公式見解やバイデン政権以上の対中強硬姿勢に期待する一方で、トランプ氏の予測不能で場当たりな対応により梯子を外されるおそれがぬぐえない。
同盟や地域に対するトランプ氏の無関心が疑心暗鬼を募らせている。
「イメルダは元気か?」
2024年11月19日、マルコス大統領はトランプ氏と電話会談した。当選への祝意を伝えるマルコス氏に対して、トランプ氏のあいさつは「イメルダは元気か?」だった。
95歳となるマルコス氏の母だ。父(シニア)とともに「夫婦独裁」と呼ばれる強権政治で20年以上にわたりフィリピンを支配してきた。トランプ氏とは友人関係にあるという。
マルコス氏はアメリカ在住のフィリピン出身者の圧倒的多数がトランプ氏に投票したと話し、両国の同盟関係を強化したいと伝えた。会談後、マルコス氏は友好的で実りの多い対話だったと笑顔で振り返った。
マルコス氏をはじめフィリピン政府高官からはトランプ氏の当選を祝し、次期政権でも米比関係に大きな変化はないとの見方が相次いで示されている。しかしながら、それらの発言は一抹の不安を打ち消す期待の声のようにも聞こえる。
次期政権の外交・安全保障政策次第で米比関係が大きな転機を迎える可能性があるからだ。
トランプ・マルコス電話会談と同じ11月19日、アメリカのオースティン国防長官はフィリピンのテオドロ国防相、ブラウナー国軍参謀総長らと連れ立って南シナ海への出撃地である西部パラワン島を訪れた。
比米防衛協力強化協定(EDCA)に基づきアメリカ軍が使用できるアントニオバウティスタ空軍基地や国軍西部指令本部に加え、アメリカ・インド太平洋軍によって建設された統合情報センターを視察した。
アメリカ高官の相次ぐ南シナ海訪問
オースティン氏は、同センター内に「USタスクフォース・アユンギン」を設置し、アメリカ兵を配置していることをSNSで初めて明らかにした。南シナ海におけるフィリピン軍の活動をアメリカ軍が支援する組織だ。
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