57歳「鬼軍曹」が挑む"世界一過酷なレース"の中身 猛獣に狙われ、不眠不休の極限状態…そこで真理を見つけた
東洋経済オンライン / 2024年12月20日 9時30分
女性メンバーも精神的に追いつめられてしまい、「もうやめて!」と叫び出す始末。何とか無事に完走することができたが、後味はよくない。レースを通じて、田中さんは人間性の至らなさを痛感させられることになったのだった。
「人って正しいことを言われても、気に入らなかったら受け入れないんです。(正論だけを振りかざしても)人間関係でよいことなんてまったくないのに、僕はわかっていなかった。このままじゃいけないと気づいたときに、アドベンチャーレースは自分が成長できる場だなと思ったんですね」
そして田中さんは会社を辞め、アドベンチャーレーサーに転向したのだった。レースは過酷ゆえに、体力の消耗は激しく、頻繁にケガもする。だが肉体的な苦痛よりつらいのは、睡眠不足だと田中さんは言う。
決められた就寝・起床時間などないため、上位成績を目指すならば、仮眠程度しか取らずに進み続ける必要がある。すると、やって来るのは「極限」なのだそう。
「睡眠を削って、極限状態になると本当につらい。精神が崩壊するというか、『もう殺してくれ!』っていうような状態になるんです。それが何日か続くと、幻覚とか幻聴が出てくることもあります」
しかし、もっとも耐えがたいのは、チームの人間関係が崩壊した瞬間だという。田中さんはキャプテンという立場だったが、最初の数年はしょっちゅうチームを険悪な雰囲気にしてしまい、メンバーから非難され、さすがに心が折れてばかりだった。
ある女性メンバーから、「キャプテンは人のやる気をなくさせる天才」と言われたこともあったほど、チームワークづくりに苦しんだのだった。
ようやく見つけた人間関係をよくする方法
そんなあるとき、レース中に、価値観を一変させられる出来事が起こった。やはり田中さんのせいで険悪になってしまい、どうにもならないままレースが進んでいくなか、メンバーの青年が口笛を吹いた。すると、チームの雰囲気が一気に和んだのだった。田中さんは当時を振り返る。
「彼は自分の意見をほとんど言うことがなく、いてもいなくても変わらない空気のような存在だと思っていたんです。はっきり言って、ちょっと下に見ていた。けれど口笛の件で、僕は彼に負けたんだ、人間的に彼のほうがすごかったんだ、と打ちのめされました。彼は彼なりに、チームのバランスを取るという役割を果たしていたんですね」
決して目立つ存在ではないけれど、実は縁の下からチームを支えていた。それに気づいたことで、田中さんは大きなショックを受けたのだった。
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