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膀胱全摘出「ロボット手術」を受けた正直な感想 4本アームの「ダ・ヴィンチ」はSF世界から来たようだった

東洋経済オンライン / 2025年1月10日 8時30分

女性の場合は通常、子宮、卵巣および膣の一部を膀胱とともに摘出するが、状況によっては温存する場合もある。

尿道やその近くまでがんが及んでいる場合には尿道も摘出する。さらに、膀胱摘除術の際には、(転移の可能性のある)骨盤内のリンパ節を取り除く。

具体的な手順について

筆者のように尿路変更術を伴わない手術の場合の具体的な手順はこうだ。

①全身麻酔を行う

②天井に頭を向ける仰臥位から25~30度頭を低くする

③お腹に1~2センチの穴を6個開けて、炭酸ガスを送り、腹部を膨らませてから手術を開始

④骨盤内のリンパ節を摘除

⑤男性は、精嚢、前立腺も含めて摘除する。女性は、子宮、卵巣の合併切除を行う場合もある

⑥膀胱を摘出するため、へそ上部付近に5~6センチの小さな切開を入れる。女性は膀胱を膣より取り出し、へそ付近の切開を行わない場合がある

⑦手術した場所にたまったものの排出や術後の観察のためにドレーンという管を留置する

⑧手術時間は3~4時間

手術に向けての準備は前々日から始まった。10時に入院すると、この日は輸血が2本待っていた。そして手術前最後の食事を味わう。ランチはサーモンフライ、夜は肉豆腐。心おきなく食べきった。

手術前日は、経口腸管洗浄剤を渡された。水を飲んだ後、1リットルほどを飲む。強烈な下剤である。まずくてなかなか飲めない。ゆっくり、ゆっくりと飲み込んでいく。

午後になると、麻酔科の医師による麻酔内容の詳しい説明、口腔科医師による手術前の口腔ケアの説明、集中治療室看護師による説明など入念な情報提供が行われた。さらに「予期しない事態の発生について」「輸血を受けられる方に」「身体拘束について」などの書類が手渡された。

“予期しない事態”への不安も

「予期しない」には、こんな記述があった。

<患者さんの治療経過中には、事前には予期できない、あるいは予期することが極めて困難な症状が発生したり、病状の変化がみられることが、まれではありますが起こり得ます>

<患者さんの身体状況に直接の影響を与える医療行為を行った際には、身体が予測のつかない反応を示すことがあります。これは、人間の身体の複雑さや一人一人の身体状況が異なることが原因と考えられ、これこそが医療の持つ不確実性の大きな要因であるといえます>

手術前に「不確実性」への言及を目にするとは。それまで楽観的だったのが一転して、一抹の不安が脳裏をかすめる。

「全身麻酔だしな。そのまま意識が戻らないことだってあり得るよな」

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