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膀胱全摘出「ロボット手術」を受けた正直な感想 4本アームの「ダ・ヴィンチ」はSF世界から来たようだった

東洋経済オンライン / 2025年1月10日 8時30分

2021年ポーランド・ワルシャワで実施されたダ・ヴィンチ手術の様子(写真:ロイター・アフロ)

2024年春、ジャーナリストの山田稔(65)さんに膀胱がんが発覚、肺にも転移しており、ステージ4でした。医師が語る病状説明を淡々と受け入れ、がんとの共存の道を選択した山田さんは、抗がん剤治療を経て10月に膀胱の全摘出手術を受けました。本連載(今回は第8回)では、4時間かかった医療ロボット(ダ・ヴィンチ)手術について記します。

繊細で正確な手術が可能なダ・ヴィンチ

10月中旬以降、頻尿と血尿に悩まされ続け、主治医と相談し熟慮を重ねたうえ、膀胱全摘出手術を受けることにした。もはや日常生活が崩壊寸前となっていたので、選択肢は限られていた。手術日は10月29日、入院日は前々日の27日となった。

【写真を見る】手術直前の筆者の様子

10月27日、衆議院議員選挙の投開票日である。投票率アップに貢献するため、朝早くに自宅を出て投票所で1票を投じてから病院に向かった。病室に入り落ち着いたところで、看護師さんから手術にあたっての細かな注意点をレクチャーされる。

筆者が受けるのは「ロボット支援腹腔鏡下緩和膀胱摘除術」というもので、医療ロボット(ダ・ヴィンチ)を利用した手術である。ロボット手術は2012年4月から保険適用となり、その後、適用範囲が順次拡大した。現在、日本においては泌尿器科がもっとも手術件数が多い。

従来行われてきた開腹手術は、手術中の出血量が多いため輸血を行う可能性が高いこと、手術時間が長時間に及ぶこと、傷の大きさが20センチ以上となり術後の痛みが強いこと、回復が遅く社会復帰に時間がかかることなどさまざまな問題点があった。

そこで、こうした欠点を克服するために考案されたのが腹腔鏡手術だ。出血量が減り、術後の痛みも軽減、早期の社会復帰が期待できる手術方式と歓迎された。しかし、手術そのものが技術的に困難なため、膀胱全摘除術を腹腔鏡手術で行っていた病院は少数だった。そこへ登場したのが、画期的なロボット手術である。

ダ・ヴィンチは4本のアームを持ち、1本には3次元カメラを接続。医師は3Dモニターを見ながら、残り3本のアームを操作し、患者の体に小さな穴を開けて手術を行う。手術操作を行う鉗子の先端に関節機能を持つため、人間の手以上に細かな作業ができる。そこで次のような利点が指摘されている。

①傷が小さく、痛みが軽い

②出血量が少ない

③術後の回復が早く、早期の社会復帰が可能

④繊細で正確な手術が可能

すばらしい手術法が現れたものである。さて、実際の手術だが、男性の根治的手術の場合には膀胱全摘に尿路変更術を施し、リンパ節郭清も行う。筆者のように症状緩和のための姑息的手術の場合ではこれらは行わない。また、筆者の場合、事前に腎瘻が入っていたため尿路変更術が不要だったという側面もある。

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