パナソニック「AI関連売上高を10年で3倍」の覚悟 このままだと「化石になってしまう」と楠見社長
東洋経済オンライン / 2025年1月10日 8時0分
家電を中心に生活領域に強みを持つパナソニックとしては、他社がまだ参入していない領域で先行してサービスを立ち上げることで、差別化を図る考えだ。
パナソニックは先述したファミリーコンシェルジュサービスのヨハナを2021年以降、アメリカと日本で展開し、暮らしに関するニーズを蓄積してきた。ヨーキー氏は「ヨハナで合計100万時間以上の時間が節約でき、利用者の65%がヨハナによってさらに質の高い時間を確保できた」と自負する。
しかしヨハナでは、アプリの裏側で人間が予定調整などを行っていたために利用料を引き下げることができなかった。また、サービスの利用によって生まれた時間に何をするべきかという提案まではできていなかった。
ウミは「ヨハナで得た学びを踏まえてヨハナよりも多くの人が使える価格」で提供される。収益源という観点では、サブスクリプションとして利用者から徴収する料金と、プラットフォームの利用料として接続先のサービスから得る手数料の2つになるという。
AIをテコに成長軌道に戻れるか
創業以来手がけてきた「暮らし」とAIの組み合わせによる新たな戦略が成功するかどうかは、パナソニックの浮沈を占うことになりそうだ。
2021年6月に社長に就任した楠見氏が最初に定めた2022~2024年度の中期経営計画は、3つある数値目標のうち2つが未達となる公算だ。戦略的な投資領域と定めたEV向けのバッテリーと欧州向けが中心の空調事業、ブルーヨンダーの3事業の成長が想定よりも遅れていることが主な要因だ。
この間、同業他社は不採算事業からの撤退やM&A(買収・合併)を経て、それぞれの得意分野へと経営資源を集中する動きを続けてきた。それに伴い株式市場での評価も高まっている。ソニーグループの株価も昨年12月に25年ぶりとなる史上最高値を更新した。
ただ、生成AIの領域で確固たる地位を築くことができている日本企業はまだいないのも事実だ。市場からの評価で出遅れ感のあるパナソニックは、他社に追いつき追い越すことができるのか。
■楠見社長「将来への危機感の裏返しだ」
現地時間1月8日に楠見社長が報道陣の合同取材に応じた。主な質疑応答は以下のとおり。
――このタイミングで「パナソニック・ゴー」を発表したのはなぜですか。
AIが進化していくにしたがって、既存の事実をベースに何かを生成するような作業は人からAIに置き換わっていくだろう。これによって、顧客との接点やソリューションも人を介さないものが増えてくる。
この記事に関連するニュース
-
CES開幕、ホンダは次世代車で攻勢…独自OSとAIの融合で自動運転の高度化目指す
読売新聞 / 2025年1月9日 17時40分
-
パナソニックHD、生成AIの米社アンソロピックと戦略提携…オープンAIのライバル企業
読売新聞 / 2025年1月8日 10時45分
-
パナソニック 2035年までにAI関連売上を30%に拡大へ 米AIベンチャーとも提携
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年1月8日 9時26分
-
パナソニックHD、AI売上比率を10年後30%に拡大へ
ロイター / 2025年1月8日 7時38分
-
オープンAI競合と提携=生成AI、製品に展開―パナソニック
時事通信 / 2025年1月8日 5時7分
ランキング
-
1ヤマハ発動機、27年ぶりに企業ロゴを刷新 デジタル活用を意識
レスポンス / 2025年1月10日 15時57分
-
2"7つの悪手"「中居正広氏の謝罪文」失敗の典型だ 反発は必然「危機管理の専門家」いなかったのか
東洋経済オンライン / 2025年1月10日 16時0分
-
3太陽光パネル大量廃棄2030年問題に挑む 強力接着剤を分離、再利用可能にする装置開発
産経ニュース / 2025年1月10日 11時0分
-
4アングル:ファーストリテ株、業績好調でも下げ突出 ちらつくウエート調整
ロイター / 2025年1月10日 17時7分
-
5長期金利、一時1.200% 13年8カ月ぶり高水準
共同通信 / 2025年1月10日 20時17分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください