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パナソニック「AI関連売上高を10年で3倍」の覚悟 このままだと「化石になってしまう」と楠見社長

東洋経済オンライン / 2025年1月10日 8時0分

AIとそれに関連する技術を自分たちの力にしないと、パナソニックが化石になってしまうという危機感がある。

冷蔵庫や炊飯器などのAI搭載家電や、天気予報をベースに電力の需給を管理する家庭用エネルギーマネジメントシステム、ブルーヨンダーなど、グループ内にはAIを活用した事業がすでに存在する。

これらの売上高の合計は(グループ売上高の)おおよそ1割弱ある。これを最低でも3倍にしたいと考えている。

――その達成に向けて投資や人員の確保をどう進めますか。

投資の仕方やどんなM&Aが必要になるかはこれから検討する。これまでは何かが決まってから慎重に発表することが(パナソニックでは)多かったが、そういうやり方をしているから何事も早く進まないという危機感があった。そこで、今回はまだ決まっていないところで発表した。

AI関連の知見をどういうふうに活用していくかを議論するコンソーシアムのような場を社内に作る。事業ごとに「この事業はこういうふうにしたら変わっていけるよね」という話を深めていくことが第一歩だ。

パナソニックHDの研究部門にもAIのチームがある。そこを核にしながらヨーキーのところでやったものを咀嚼して、展開していけるような機能を担わせようとしている。人材の交流もかなり進んでいる。

「BtoBシフトの転換ではない」

――パナソニックとしてのAIでの勝ち筋は?

2つある。1つはオーケストレーションの機能とか、AIエージェントの開発を自社でやっているわけだが、それぞれのサービスについてそこのノウハウをいち早く築くことだ。

もう1つはパナソニックに対するお客様からの信頼、企業倫理を(サービスの主体が)AIに変わっても実現していくことだ。単純にAIアシスタントで生成AIを使っているということではなくて、組み合わせでやっていく中で、違いを出していくことがポイントになるだろう。

――ブルーヨンダーを中心に前社長の津賀一宏氏の時代から進めてきたBtoBシフトを転換するということですか。

かならずしも転換ではない。津賀の時代に発表したのは「BtoBを伸ばしていきたい」ということだった。先進国では(個人向けの)冷蔵庫や洗濯機が劇的に進化するようなことは考えにくく、コスト競争にならざるを得ない。新しいことがたくさん起きて、成長の機会があるのはBtoBだ。

ウミはBtoBの話でもある。提携先のサービスをつないでいく際に、(パナソニックが)プラットフォーマーになるという意味ではBtoBのサービスだからだ。

――​2024年を通して「危機感」を繰り返し社内外に発信してきました。2025年のキーワードは何ですか。

危機感にはいろんな危機感がある。緊張感というか、競合に対して劣後していることへの危機感、というのもあれば、生成AIの時代になったら、どれだけ変わっていくのかということ、そこに対する危機感もある。

既存の事業は徹底的に収益性を高める。これは現在への危機感。一方で将来に向けては世の中の技術やさまざまな進化を自分のものにしていくということにも危機感を持っている。パナソニック・ゴーやウミは将来への危機感の裏返しだ。

梅垣 勇人:東洋経済 記者

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