予防歯科の先進国で「甘いケーキ」が日常の衝撃 日本の「歯磨きの仕方」ではむし歯は防げない
東洋経済オンライン / 2025年1月11日 9時30分
甘いものをたくさん食べてもむし歯にならないのは、スウェーデン人の砂糖の摂取量とむし歯の罹患率を見ても明らかです。次のグラフは、2021年の各国における1人当たり砂糖消費量を示したものです。
スウェーデンが34.1キロ、日本が17.7キロで、スウェーデン人は日本人の2倍近い砂糖を消費しています。また、スウェーデンは欧州諸国の中でも、とりわけ砂糖の消費量が多い国の一つです。
一方、むし歯の罹患率(3歳、6歳、12歳の平均)は、スウェーデンで17.3パーセント(2021年スウェーデン国立保健福祉委員会)、日本は33.1パーセント(厚生労働省令和2年歯科疾患実態調査)。砂糖をスウェーデンの半分ぐらいしか摂らないのに、スウェーデンのほうが日本よりも、むし歯罹患率が低い傾向にあります。
むし歯予防というと、歯磨きを思い浮かべる人も多いでしょう。
歯磨きについては、2018年に実施された「Oral Health Global Report」という調査データがあります。世界40カ国、約4000万人を対象にしたもので、1日で歯磨きにかける時間が最も長いのは、日本人の平均6.4分でした。日本人は歯磨きにかける時間が、世界一長い国民なのです。
つまり、日本人は砂糖の消費量が少なく、歯磨きもちゃんとしている。それなのに、むし歯の罹患率は、スウェーデン人より高いのです。
そこには日本人の口腔ケア常識が、世界標準から40年以上遅れているという現実があります。
日本の歯磨きの仕方でむし歯は防げない
「むし歯予防には歯磨きが大切」と言いながら、その歯磨き法が最新の口腔医療から見ると間違いだらけなのです。歯磨き時間、歯磨き粉、磨き方など、さまざまな点で効果の少ない磨き方になっているのです。
たとえば、フッ素配合の歯磨き粉で歯磨き後、コップにたっぷりの水を入れて何度も口をゆすぐ習慣です。後で述べるようにフッ素の活用はむし歯予防に効果的ですが、せっかくフッ素を使っても口の中をゆすいでしまっては、フッ素成分が洗い流されてしまいます。
また、スウェーデン人の多くは、歯磨き後にフロスや歯間ブラシなどを使って、プラーク(歯垢)を取り除いています。日本でも最近はフロスや歯間ブラシを使う人が増えていますが、残念ながら使い方を間違えている人が少なくありません。
さらにいえば、口腔ケアは自宅だけでは不十分です。大事なのは定期検診で、スウェーデンでは子どもの頃から歯科医院で定期検診を受けるのが当たり前になっています。成人になってからも、8割の人が定期検診を受けています。
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