ジャガーの新世代「タイプ00」はむしろ伝統的だ 超絶モダンな中に見えるブリティッシュネス
東洋経済オンライン / 2025年1月11日 11時0分
2024年12月初めにアメリカ・フロリダ州マイアミで公開された、ジャガーのデザインビジョンコンセプト「タイプ00」が話題だ。といっても絶賛というわけではなく、賛否両論というか、否定的な意見が多い感じがする。
【写真】超モダンに見えても「むしろトラディショナル」だというタイプ00
これまでのジャガーは、1960年代に生まれた「Eタイプ」や初代「XJ」などのイメージを引き継ぐ、優美な曲線で描かれたクラシカルなフォルムを特徴としていた。
しかし、タイプ00は、多くのクルマ好きの脳裏に刷り込まれたそれらの形とは、かなり違う。
もちろん炎上狙いではない。2025年に創業90周年となる老舗が、注目を集めるためだけにコンセプトカーをお披露目したわけではない。それが証拠に、前もって新しいロゴマークも発表されており、激変の予兆はあった。
しかもニュースリリースには、ジャガーの創業者であるウィリアム・ライオンズ卿の信念である「Copy Nothing」まで立ち戻って引用され、「大胆に」「新たな発想で」「臆することなく」という言葉が並んでいる。
【写真】斬新すぎて世界で炎上!ジャガー「タイプ00」の前衛的すぎるデザインを見る(70枚以上)
ジャガーの歴史に革新あり
ジャガーというと、トラディショナルなブランドだと思っている人がいるかもしれないが、歴史を振り返ると、革新的なモデルがいくつもあった。
第2次世界大戦後に限れば、航空業界から移ってきた空力技術者、マルコム・セイヤーが関わったクルマたちはその代表格だろう。
終戦直後、ジャガーの名声を一気に高めたスポーツカー「XK120」をベースにしたレーシングカーで、コンペティションの頭文字をあてた「Cタイプ」は、いち早く4輪ディスクブレーキを採用したこともあり、ル・マン24時間レースで1951・1953年と、2度の優勝を記録している。
続く「Dタイプ」では、当時としては珍しいモノコックボディを採用することで、1955年からル・マン3連覇を達成。車名で想像できると思うが、この2台の経験を投入したのが1961年発表のEタイプだ。
さらに後継車として1975年に登場した「XJ-S」も、リアウインドー左右のフィンが象徴しているように、彼の空力の経験が織り込まれていた。
もちろん、今回のタイプ00は、セイヤーが描いたフォルムとは異なり、空力に配慮しているようには見えない。それは時代背景が関係しているだろう。
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