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米国大統領が「日本製鉄」をこうも目の敵にする訳 人気取りは、時に自国民の利益よりも優先される

東洋経済オンライン / 2025年1月11日 8時50分

可能性としては、先の国の威信やナショナルアイデンティティにひも付いている神聖モジュールが、社会経済状況の悪化とともに過剰反応するようになったことが考えられるだろう。そうなると、今後多様な分野で感情的な反発からハレーションを引き起こすことが増えていくかもしれない。

金融ジャーナリストのロジャー・ローウェンスタインは、大統領選から撤退する前の昨春の段階で「疑いなく、バイデン氏はドナルド・トランプ氏の自国第一主義なアピールに対抗したいと考えている」と評した(It Hurts to See Biden Imitating Trump on Trade/2024年3月21日/The New York Times)。バイデン大統領が身に付け始めたポピュリズム的しぐさに対する批判である。

残念なのは、バイデン氏がトランプ氏の真似をしていることだ。トランプ氏は、2期目に当選すれば、日本企業の買収を「即座に」阻止すると誓っている。バイデン氏の反対声明はトランプ氏よりやや弱かった。同氏は買収を非難したが、明確には破棄するとは誓わなかった。(略)バイデン氏はトランプ氏の支持者に迎合した。(同前)

ポピュリズムにおいては、支持者を拡大するために対立候補の政策を“盗む”ことが頻繁に見られる。要するに、保守層にもウイングを広げたいのだ。

もはや単なる人気取りでしかないので、これまでの政治的なスタンスとの整合性は軽視される。そして、最悪の場合、真に国益となるのか、自国民のためになるかといった実際上の問題は考慮されなくなる恐れがある。

「自分たちの沽券(こけん)に関わるシンボリックなものが侵食されるのを座視するわけにはいかない」――これが多くの国民の琴線に触れるものであり、支持率に直結するのであればなおさらである。

自尊心を脅かすものをすべて敵対勢力とみなすアイデンティティ戦争の様相を呈していることに注意を向ける必要がありそうだ。

真鍋 厚:評論家、著述家

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