「プラス3.1%成長」北朝鮮経済が改善しているわけ 穀物生産量も上がり国民生活もじわり改善?
東洋経済オンライン / 2025年1月11日 9時0分
北朝鮮は2024年秋に朝鮮総聯(在日本朝鮮人総聯合会)の祖国訪問団の訪朝を皮切りに、朝鮮大学校の学生120人からなる祖国訪問、平壌で年始に行われた公演会に参加する子どもたちの訪問を受け入れた。
在日コリアンらもコロナ禍で3~4年ほど訪問できず、ようやく実現した祖国訪問中に見聞きした平壌市内などの経済状況を、コロナ禍前の訪朝と比較しながら明らかにしている。
訪問者らの話を総合すると、現在の平壌の様子はまさに「天地開闢(かいびゃく)」と漏らすほど街の風景が一新していると口をそろえる。北朝鮮の金正恩総書記はこれまで、平壌や地方都市の住宅建設・リニューアル工事を進めており、いくつかのいわゆるニュータウンも生まれたが、これまで目にすることがなかった光景が広がっているという。
市内を走る車両もコロナ禍前とは違って大きく増え、かつ運転席にカーナビゲーションシステムを装着している車が増えていると証言する。
また、電力事情がとても改善しており、「これまでの明るさとはまったく違う」ほどの明るさであり、かつ停電もほとんどなかったという。一方で、市民たちの電気代も上昇しているとのことだ。
さらに2023年の穀物生産量は、「600万トンという生産目標を103%達成した」と現地の経済専門家から聞いたという。これまで北朝鮮では穀物生産量が600万トンであれば、自給自足ができる水準の生産量とされてきた。103%生産したのであれば618万トンということになる。
生産量が増えるにしたがって配給がかなり正常化しており、これまで主食の1つだったトウモロコシよりは麦・小麦が代替しつつあり、食生活の量と質にも大きな変化があったという。
市民の中には「100ドル程度は数日で消費してしまう人がいる」と聞き、北朝鮮社会の中でも中間層が増えているのではと考えられる、という声もあった。
中間層が形成・拡大しつつある
公務員の給料が引き上げられる一方で、人気のアイスクリームが1つ1ドル、ビール大ジョッキが2~3ドルと、これまでの価格水準からかなり高いものが消費されており、それなりの収入を得る市民が徐々に増えているとも考えられる。
東洋経済の取材に応じた別の訪朝者も、「スマートフォンで生活のほぼすべてのことが処理できるようになっていて本当に驚いた」という。レストランや映画館などの予約から座席指定までスマホで注文でき、生活のかなりの部分がデジタル化されているという。
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