「プラス3.1%成長」北朝鮮経済が改善しているわけ 穀物生産量も上がり国民生活もじわり改善?
東洋経済オンライン / 2025年1月11日 9時0分
2023年の北朝鮮の経済成長率はプラス成長、1人当たり国民総所得(GNI)も上昇 ――。北朝鮮の経済が上向いているとの分析が発表された。
韓国統計庁は2024年12月、「2024北朝鮮の主要統計指標」を発表した。これは毎年、韓国統計庁があらゆるルートからの情報をまとめ、北朝鮮の経済を推計したものだ。
これによると、2023年の経済成長率は前年比3.1%のプラス成長となった。2022年はマイナス0.2%、2021年は同0.1%からプラス成長に転じたことになる。
マイナスからプラス成長へ転換
2020年1月下旬から北朝鮮は新型コロナウイルス感染症の国内流入を防ぐという名目で国境を遮断。それ以降、経済的に厳しい状況にあるとされてきたが、2023年には回復を始めたとみることができる。
また、国民1人当たりGNIは158.9万ウォン(約16万円)で、前年143万ウォン(約14万円)より増収となっている。経済成長を押し上げたのは建設業や鉱工業などの生産活動が活発化したためと韓国統計庁はみている。
ただ、韓国と比較すると北朝鮮のGDP(国内総生産)は韓国の60分の1、1人当たりGNIは韓国の30分の1程度の規模となっている。
対外貿易は、2023年の貿易総額は27.7億ドルで前年比74.6%増となっている。北朝鮮が輸出する品目のうち主なものは、かつらやつけまつげといった品目(調整羽毛と綿毛およびその製品)が全体の半分を占めている。また、北朝鮮が輸入している主な品目は「鉱物性燃料、鉱物油」が全体の18.4%を占めた。
また貿易総額の98.3%が中国が相手国であり、対外経済の中国依存がきわまっている状態であることがわかる。
農業分野では、穀物生産量は482万トンで前年比6.9%増。うち、コメの生産量は211万トンで同1.7%増となっている。
今回の統計発表は北朝鮮の実態を示す代表的な分析の1つだが、北朝鮮が公式統計を発表していない状況であり、あくまでも推計値にすぎない点は注意すべきだ。ただ、コロナ禍もほぼ沈静化し、経済状況も徐々に落ち着きを取り戻しているのが2023年の北朝鮮経済だとみてもよいだろう。
一方で、北朝鮮現地を訪れた人たちが体験した北朝鮮経済はどうか。実は、この点で非常に興味深い話が聞こえてくる。季刊『朝鮮経済資料』2024年第4号には、2024年秋に「祖国訪問」として北朝鮮に行ってきた朝鮮大学校の教員などによる北朝鮮国内の様子が描かれている。
2024年秋の平壌の状況
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