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20年前の3倍「家で看取る」医療を選んだ妻の想い 最期は自宅で…「在宅医療」の中身と費用を解説

東洋経済オンライン / 2025年1月15日 8時10分

在宅医療での日々を患者家族が語ってくれました(写真:編集部撮影)※写真は一部加工しています

医師と看護師が定期的に自宅を訪問して診療し、何かあったときは24時間365日、対応してくれる――。

【図で解説】これでスッキリ「在宅医療の枠組み」

そんな「在宅医療」は、政府が進める医療のかたちの1つ。この20年で利用者が増えているというが、どんなことができて、費用はいくらかかるのか。医師と利用者に話を聞いた。

医師らが自宅を定期訪問

高齢者の増加や医療技術の進歩などを背景に、入院でも通院でもなく、“患者の自宅などで行う医療”が広がりつつある。「在宅医療」と呼ばれており、患者は医師の定期的な訪問診療を受けながら、住み慣れた環境で療養できる。

病状が急変したときには医師が駆けつけて診療し、手術や大がかりな検査が必要なときには病院に紹介するシステムとなっている。

在宅医療には医師だけでなく、看護、介護といった、ほかの専門職が連携して関わるのが一般的だ。

例えば「訪問看護」では、主治医の指示で看護師が訪問し、病状のチェック、服薬の管理や注射、痰の吸引、入浴の介助などを行う。「訪問介護」では、ホームヘルパーなどの介護職が入浴や排泄、食事の介助といった身体介護と、調理・洗濯・掃除といった生活援助を行う。

簡単に言うと、以下のようなイメージになる(※外部配信先では図を閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。

対象となるのは「通院困難な人」

東京都江戸川区の「しろひげ在宅診療所」は、16人の医師が年間1800人の患者の診療にあたっている。院長の山中光茂さんは、医師免許を持ちつつ、三重県松阪市長を2期務めたという異色の経歴を持つ。

市長時代は、地域の医療計画作りなどに取り組んだが、患者1人ひとりの思いに寄り添うという点で、行政ができることには限界があったという。

「市長を辞めた後、三重県内や都内で在宅医療に携わっていました。その経験をもとに、最期まで本人と家族が安心して自宅で過ごせるような医療を目指して、都内で一緒に働いていた仲間とともに独立しました」(山中さん)

同診療所では、医師と看護師、ドライバーが3人1組となり、江戸川区や隣接する千葉県浦安市などを1日10件ほど訪問。患者の容態が急変したときは、24時間365日対応で往診する。

対象となる病気は、がん、精神疾患、脳卒中の後遺症、認知症、心臓病、パーキンソン病など幅広い。最期が近い、筋肉や関節が衰えて移動が難しい、自宅に引きこもっている……。それぞれに通院困難な事情を抱えている患者やその家族が、「しろひげ」の訪問を待っている。

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