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トランプ発言で注目「カナダ」の日本との"深い縁" キャノーラ油の品種改良の背景に"両国の信頼"

東洋経済オンライン / 2025年1月15日 16時0分

カナダは、日本人の食生活にとって不可欠(写真:mpavlov/PIXTA)

「カナダはアメリカの51番目の州になるべきだ」。トランプ次期大統領の発言でカナダが揺れている。その余波は9年続いたトルドー首相の辞任につながり、次期政権は今年のG7議長国としても難しい舵取りを迫られる。

そんなカナダだが、日本にとっては自由・民主主義・人権重視を共有する外交パートナーとして近年、存在感を高めてきた。

さらにカナダは「準・超大国」と呼ぶべき潜在力を秘めている。食糧やエネルギー豊かな資源大国、ノーベル賞学者を育んだAIや量子技術の開発国、地球温暖化対策の先進国、そして移民立国など多様な側面を持っているのだ。

留学・移住先として、また『赤毛のアン』などの文化や大自然のイメージでも日本での人気は高いが、案外知られていないカナダの素顔を紹介する(山野内勘二著『カナダ―資源・ハイテク・移民が拓く未来の「準超大国」』より一部、抜粋・編集してお届けします)。

主要国で食料自給率100%超は4国のみ

カナダは食料自給率230%を誇る。主要国で食料自給率が100%を超えている国は、カナダを筆頭にオーストラリア、アメリカ、フランスのみだ。

農業はカナダの国際貿易にとって、きわめて重要な地位を占めている。それゆえに、カナダ食品検査庁を中核とする、厳しい品質基準を満たすことを保証する強固な規制システムがあり、農産品・食品の安全性を維持している。

日本の食料自給率は、カロリーベースで38%に過ぎない。食料の安定確保は、国家安全保障の重要な一部である。国内農業を抜本的に強化しつつ、的確な食料輸入戦略が至上命題だ。

カナダは、日本人の食生活にとって不可欠だ。特に大切な品目について見てみよう。

小麦――カナダは世界有数の生産国

小麦は、多くの国にとって基礎的な穀物だが、自給できる国は数える程だ。実は、日本の場合、国内で消費される約9割は、輸入品だ。主な輸入先は、アメリカ(50%)、カナダ(33%)、オーストラリア(16%)の3カ国である。

いずれの国も日本とは、基本的価値を共有し、非常に良好な2国間関係を持つ。

小麦の輸入は、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」に基づく国家貿易で、国がアメリカ・カナダ・オーストラリアから買い付けて、国内の流通業者に販売する仕組みだ。きわめて安定的に小麦を調達しているといえる。

しかし、輸入価格は、国際市場で決まる。国際情勢、地政学的な影響を受ける。さらには異常気象・天候の影響により、収穫量が変動すれば、当然に価格に直接反映する。

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