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ホンダ新型「N-VAN e:」商用軽EVとしての特異性 徹底的に配送ドライバーを考えた電動化の姿

東洋経済オンライン / 2025年1月16日 13時0分

商用に特化した、なだらかな加速特性の走行モードは、時間に追われるルートセールス業務にも適している。月末になると数字が足りない焦りから、どうしてもアクセルペダルの踏み込み量が多くなる。しかしこれは、荷崩れを誘発する運転に直結するため積荷に対して優しい運転ではなくなってしまう。

その点、N-VAN e:は、決められた閾値まではラフなアクセル操作に対しては、じんわりとした加速度に抑えて走る。一方で、急加速が必要とされるような踏み込み方を検出すると、持てる力をすべて出し切り応えてくれる。その切り替えが非常にうまく、N-VAN e:と一緒に成績アップを目指しているようで心強い。

減速特性からも作り込みの奥深さを実感した。ブレーキ操作なので安全上、ペダル踏力を強めたり、短時間で一気に踏み込めば一般的な軽商用バン同等以上の確かな制動力を発揮するが、気になるのが普段使いの減速特性だ。

2013年のアコード・ハイブリッド以降のホンダ電動各車は「電動サーボブレーキ」を採用する。停止間際まで回生ブレーキで制動力を生み出すことで回生量を増やし最後は油圧ブレーキが止まるブレーキを担当する。これでAERの向上を狙うのだ。

電動サーボブレーキはブレーキバイワイヤー方式を採用する。利点のひとつに、きめ細やかな回生/油圧ブレーキの切り替えがある。たとえばバッテリーの充電率を示すSOCが上限に近い場合は、回生ブレーキではなく油圧ブレーキでの制動が中心になるわけだが、電動サーボブレーキは油圧ブレーキ時でも、ペダル踏力や踏み心地がが回生ブレーキでの制動時と変わらない。ここはボディサイズに制約があり前後ピッチングが発生しやすい軽商用バンにとってありがたい。N-VAN e:は、走ること、止まることの両面に電動化パワートレーンの恩恵をたくさん受けている。

1回の充電で実走行100kmを実現

開発時の目標のひとつに「どんな走行状況でも100km走行できるバッテリー性能」がある。N-VAN e:のAERはWLTC値で245km(ミニキャブEVは180㎞)、日常走行時の電費目安となる交流電力量消費率はWLTC値7.87km/kWh(ここはミニキャブEVも同数値)。

N-VAN e:が優れているのはWLTC市街地モード値で、ここはミニキャブEVよりも20%上まわる11.76km/kWhを達成した。この値がどれだけすごいかといえば、たとえばミニカー規格のパーソナルモビリティの実電費とほぼ同等だ。

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