「4回も不合格」それでも東京藝大目指す彼の粘り 度重なる不運に遭いながらも勉強を続けた
東洋経済オンライン / 2025年1月19日 7時40分
中学校に入ってからは、学年400人中20~30位の優秀な成績をキープしていた青野さん。しかし、青野さん自身は興味を生かす仕事をしたいと考えて、中学3年生のころには美大に進むことを決意しました。
「中学校の最初の試験の順位は、400人中100番だったのです。あまりにも低いなと思い、慌てて自主的に勉強するようになりました。授業中に集中して聞いて、家でも復習をするようにしたら、成績が上がりました。当時から、友達と釣りをしたときも『多く釣れたほうが勝ちだ!』と言っていたので、人と競争するのが好きだったんでしょうね」
負けず嫌いで、自分が決めたことに集中する性格だった青野さんは、そろばんと習字をやめて入った中学校の卓球部では、市の大会で3位になったこともありました。
そんな青野さんの高校受験は、最初は県内有数の進学校である千葉県立八千代高等学校を第1志望に設定したものの、受かるかどうかギリギリのレベル。また、家計的に私立に進むのが難しかったために、滑り止めで考えていた私立の受験も回避します。こうして志望校を少し下げた結果、合格者の中でも10番以内の優秀な成績で、千葉県立八千代東高等学校に進学しました。
「高校生活は楽しかったです。後々美術部に入ればよかったと思いましたが、その当時は団体競技をやってみたかったので、バスケットボール部に入って3年間熱中しました。引退する高校3年生の6月になってようやく、次に集中できることを探そうと思い、美大の予備校に入ったんです」
初心者から始めた絵は大体「お蔵」入り
美術系の大学について何も調べていなかった青野さんは、ようやく高校3年生の夏に友達から予備校に通う必要性を聞き、ふなばし美術学院に通うことを決めます。
しかし、そこで直面したのは、「何をしていいかわからない」という問題でした。
「用具を揃えて鉛筆のデッサンを始めたのですが、自分の作品の何がいいのか、何が悪いのかがわかりませんでした。講師の方に『印象が違うね』『距離感が足りないね』と言われても、おっしゃっていることがまったく理解できませんでした」
青野さんが通っていたふなばし美術学院では週に1回、講師による講評があり、「上」・「中」・「下」の棚に、それぞれ作品が置かれていきました。「上段」はおそらく受かる、「中段」はもしかしたら受かる、「下段」はほぼ受からないという基準だったそうですが、青野さんの絵は、ほとんど下段の棚よりも評価が低い、端っこに重ねられる「お蔵」という評価でした。
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